Members Column メンバーズコラム

いわての医療機器関連産業
高橋晃進 (岩手県商工労働観光部ものづくり自動車産業振興室) Vol.765
KNS東北支部世話人の高橋です。
7月の「KNS定例会in関西医科大学」では、久しぶりにリアル参加し、皆様にお会いすることができました。とても楽しいひとときでした、ありがとうございました。
私は、2018年3月まで3年間「岩手県大阪事務所」に勤務し、その後、釜石市ラグビーワールドカップ2019推進本部への派遣、大会終了後に県に戻り、北上川上流流域下水道事務所及び港湾空港課での勤務を経て、今年の4月から「商工労働観光部ものづくり自動車産業振興室」で企業誘致の業務に従事しています。
この機会に、岩手県の「ものづくり産業振興施策」のうち、3つの柱の一つであり、関西での集積が著しい「医療機器関連産業」の振興施策について紹介させていただきます。
岩手県では、トヨタ自動車の完成自動車工場の立地を背景とした「自動車関連産業」と、キオクシア及び東京エレクトロンの立地に伴う「半導体関連産業」の集積が進んでおりますが、それに続く第3の成長産業として「医療機器関連産業」の集積・育成を目指しています。
岩手県では、2008年に「いわて医療機器事業化研究会」を設立するとともに、2010年3月に「岩手県医療機器関連産業創出戦略」を、2015年6月には「岩手県医療機器関連産業創出戦略 第2期」をそれぞれ策定し、医療機器等関連産業の創出を目指し、産学行政が一体となって、戦略に基づく取組を進めてきました。
そのような中、医工連携の団体「東北ライフサイエンス・インストルメンツ・クラスター」(TOLIC:トーリック)が2014年に民間主導で設立され、企業間や大学等と連携を進め、海外へも展開するなど、民間の取組が活発化しています。
東北ライフサイエンス・インストルメンツ・クラスター(TOLIC)ウェブサイト
HOME | TOLIC(東北ライフサイエンス・インストルメンツ・クラスター)
これらを踏まえ、医療機器等関連産業を取り巻く環境の変化やこれまでの取組の課題を踏まえ、岩手県のものづくり産業がこれまで培ってきた高い技術力や優れた人材、共同研究の成果などを生かし、産学行政の連携による製品開発等を通じたイノベーションが継続的に創出されるとともに、岩手県内企業の医療機器等関連産業への参入が進むことなどにより、本県医療機器等関連産業が更に発展することを目指すための戦略として「岩手県医療機器等関連産業イノベーション創出戦略」を2020年に策定したものです。
この戦略では、「医療機器等に関するイノベーションが継続的に創出され、岩手発の製品が世界の医療や健康に貢献している」ことを目指しており、次の4つの戦略に基づき、医療機器等関連産業の高度化と集積を促進する取組を推進しています。
戦略1 ヘルステック・イノベーション・ハブ(HIH)を核としたイノベーションの創出
戦略2 岩手発の新製品の開発促進
戦略3 医療機器等関連産業の集積促進
戦略4 医療機器等関連産業を支える人材の育成・確保・定着
このうち、「ヘルステック・イノベーション・ハブ」(HIH)は、岩手県が戦略的に育成する医療機器関連産業の集積・イノベーション創出拠点として、盛岡市の岩手県工業技術センター内に設置しています。
このHIHでは、TOLIC会員企業など医療機器メーカーや関連ソフトウエア企業、大学研究機関などが集まり、研究開発や新たな技術の創出が進められています。
ヘルステック・イノベーション・ハブ(HIH)ウェブサイト
ヘルステック・イノベーション・ハブ(HIH) | 盛岡市の研究室貸出
今後は、これらの取組を通じて、医療機器分野における新たな技術開発や産業集積を促進し、岩手県内の地域経済の発展を目指しています。
ここまでざっくりと岩手県の「医療機器関連産業の振興の取組」を紹介してきましたが、関西の企業様、大学様、医療機関様と連携していきたいと考えておりますので、ご興味がありましたら私宛て御連絡いただければ幸いです。
追伸、機会を捉えて定例会に参加したいと存じますので、その節はよろしくお願いいたします。