Members Column メンバーズコラム

山口県発!LED、水素など産業クラスター形成への取組

高林謙行 (山口県大阪事務所)  Vol.125

高林謙行

 山口県大阪事務所の高林です。仕事は、主にいわゆる企業誘致を担当しておりまして、
関西、中部地方を中心に廻っております。電車や街で知人に偶然出会うことが度々あり、
都会でもそういうことがあるものだなと思っていた矢先のこと、先日、
KNSのある幹事の方と新大阪の隣の駅でバッタリ出会い、その時に本コラムを
紹介していただいたのがきっかけで、この度の投稿に至った次第です。

 今回は、山口県内で取り組んでいます二つの産業振興プロジェクト「やま
ぐちグリーン部材クラスター」「水素エネルギー利活用プロジェクト」につ
いてご紹介させていただきます。
 まず一つ目の「やまぐちグリーン部材クラスター」ですが、国から地域産
学官連携科学技術振興事業費補助金の採択をいただき年間数億円規模の事業
費で①高効率(破壊的な低消費電力化)なLED用部材開発とLED応用製品の開
発、②太陽電池時代の到来に伴い大量の廃シリコン問題を解決する廃シリコ
ンの減量とリサイクル③ナノ粒子応用グリーン部材開発(ナノ粒子の合成分
散技術の確立と液晶材料等への添加による破壊的な性能改善)の3つのテー
マに取り組んでおり、国際競争力のある産業集積を図り、「知のグローバル
拠点」「省エネ・省資源型高機能部材生産拠点」を目指しています。
 これまでの成果としては、平成21年度以降、リチウムイオン電池用材料
や太陽光発電関連など12件のグリーン部材関連の新規工場立地、中小企業
によるLED照明機器や集魚灯、マルチディスプレイなど9社17製品の商品化、
また7研究機関と14企業が「共同研究」を実施し、15社の企業との「秘密保持
契約」が締結されています。
 ①高効率LED用部材開発とLED応用製品に関する成果につきましては、
上述の商品化に加え、山口大学発ベンチャー企業「(株)山口光半導体研究所」
が高効率のLEDサファイア加工基板を本年4月から生産開始し、LED照明や
超薄型LEDテレビ、屋外用デジタル広告等新製品への応用が期待されています。
また、更なる高効率のLED用加工基板、次世代GaN基板などを開発中で、
順次製品化を目指しています。
 次に、②太陽電池用シリコンの減量・再生技術の開発に関する成果についてです。
 現在の太陽電池の製造工程では、シリコンインゴットをウエハにする際、
切断ロスが60~70%廃シリコンの切断くずとして排出されています。
そこで、切断くずが出ないように板状のシリコンや球状のシリコンを育成する
研究開発と今の製造方法で切断時に出た廃シリコンを再利用する研究開発
を行っており、今後の省資源化を目指します。
 次に、③ナノ粒子添加材料及び素子開発に関する成果についてです。
 ナノ粒子を添加することによって、低電圧・低温で高速駆動する次世代
液晶ディスプレイや、反射防止、光拡散、高硬度化など複合的な機能を持つ
新型光学フィルムなどの新製品開発を目指しています。
 詳しい内容は、次のURLをクリックしていただければご覧いただけます
ので、ご興味、ご関心のある方は、是非、私どもにお声をかけていただければ
幸いです。
  http://greenvalley.iti-yamaguchi.or.jp/greenvalley/index.html
 二つ目の産業振興プロジェクトが、「水素エネルギー利活用プロジェクト」
で、来るべき「水素社会」の到来に向けて、山口県の重要な資源である副生
水素(全国の10%強の供給能力)を有効に活用すべく取り組んでいるところです。
 昨年度においては、「地域における水素の持続的な利活用」に関するFS調査や
「水素関連製品の試作開発」に取り組むとともに、新たに、国の事業を活用した
「水素ステーション等の導入可能性調査」を実施したところです。
また、昨年9月には、周南市に岩谷産業(株)と(株)トクヤマの合弁で液体水素の生産拠点
の立地が決定し、将来の水素供給基地として大きな役割が期待されています。
 今年度においても、NEDOとの連携により、更にプロジェクトの深化を図ること
としています。

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