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映画「かぞくわり(仮題)」もう少しで出陣!!

塩崎祥平 (映画監督)  Vol.203

塩崎祥平

東京から関西に拠点を移し、約1年半が経ちました。
きっかけは、出身である奈良県大和郡山市で長編の映画を作った事でした。

地元の多大な協力を得て、完成した映画「茜色の約束」は2年前に地元で公開され、今年大和郡山が市制60周年の記念の年でもあり、地元は地元の映画を観よう、そして地元以外の地域では、もっと大和郡山という所を知ってもらおうと、どこでへでも映画を出張する上映雲ef活動を行っています。上映会には私も必ず行きますので、映画を観て頂いた後に、皆で色んな話をする。これが楽しい。特に20名ほどの小規模上映会が楽しい。

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東京にいると、必ず地元の応援団や関係者の皆さんに全てをお任せして、やってもらわないといけない状況がたくさん出て来ます。必要な時だけ、地元に帰って活動する中で、「なんで俺はそこにいつもいないのか?」と思う疑問がいつもありました。

次の作品も奈良で撮りたい。
そうであれば、東京を離れるべきだ。

ゼロからでいい。そもそもストーリーもゼロから書いている。
でも関西に戻るという意味で、本当のゼロはどこからだろう?

そもそも、実家嫌いがきっかけで、地元を離れ、学生の頃から遠くに住んだ。
日本に帰国しても、やりたい映画の産業が東京一点集中だから、関西には帰らなかった。
妻も同じく関西出身で、同じ理由で実家を学生の頃から離れていた。

ん?ゼロとは「嫌いだった所」か?

結果、妻と話をして、夫婦で嫁さんの実家に住む事になった。
そう。結婚6年目にして、信じられない事に、自分は『ますおさん』になってしまった。

そこはまさにどこにでもある住宅街。考えてみれば自分は住宅街出身だ。
ちなみに私の実家も同じような住宅街。両方、昭和50年代に作られた地域だ。

今まで男であるが故に、嫁姑問題を軽視していたかもしれないが、逆バージョンを楽しむ日々。

嫁さんの実家に住み始めるやいなや、たくさんの事が見えてくる。
「そうか、だから実家を離れたかったんだ」という具合に若い頃に、何となく嫌だった事の真相が浮き彫りになってくる。

40年前も今もマイホームが欲しい人は欲しい。自分の家を持つという夢を描く人は多い。実家を離れて家を買う人が多かったから住宅街も増える。そこで子供を育てて幸せな時間を過ごす。景気は右肩上がり、みえない金が溢れ、そんな平和の光景は発展途上の国から見れ・ce、まさに極楽浄土にみえるのではないか?

ところが今や、隣も、向こう側の列の何軒目と何軒目も、空き家。住む人がいない。
あそこは、高齢のおばあちゃんが一人で住んでいる。「●●さんの所のあのおじさんが、行方不明やて。」すると、自治会で炊き出しありの捜索が始まる。まるで年に1、2回のイベントのようになっている。あっちにも、そっちにも20代、30代、40代のニートが両親・c6住んでいる。仕事はしているが、結婚はしていなくて、両親とずっと暮らしている。各家庭様々。

子供が大きくなれば、出て行く者が多い。皆が全て2世帯住宅のようになっていれば、この現象はないはず??

町の行政も、高齢化が進むに連れて、住宅街があって人口はいるが、税収が上がらないと頭を抱える??

住宅街の建物も、そもそも30~40年しか持たない建築のものが目立つ。

戦後の栄華も建物の耐久年数と比例しているのか?

さあ、どうする。核家族!
理想だったんじゃないのか?
どうした核家族!

限界か!?

それでも、今日もどこかで新しい住宅街が開発されている。
新しい土地に新しい家。

おお。「住宅街」というものの存在がどんどん魅力的に感じるようになってくる。
ネタの宝庫です。

「ますおさん」になって割とすぐに執筆を開始した。
自分自身の住宅街に対する思いを描くのではなく、今の現状を住宅街に存在する「あるある」の出来事を徹底的に見た結果を表現する作品。
そこには笑いあり、笑いあり、笑いあり、笑いながら、少しずつ本質をみていく。

今の人間がこの先、何か、残そうと暮らしていくのか。しないのか。
でも先人だって残そうと思って作ってた訳じゃないものだってたくさんあるはず。
それが自然に残る事がすばらしい。
住宅街はどんな形で残っていくのか。いかないのか。

1000年ほっておいたら、貴重なものになっているのか?

奈良にも多くのベットタウンが存在する。
大阪へ通勤する為の交通の利便性の高さから発展した。
その傍らで1000年以上も形を残しているものがある。それが奈良だ。
その要塞をどっしっと動かず見つめる、神が沈む山、二上山。
その麓には「極楽浄土」を描いた大きな大きな曼荼羅が飾られている寺、當麻寺がある。

現代人はこの極楽浄土を描いた曼荼羅をどう観るのか。

古いものと今のものの差をセリフなどの説明なしで表現する事ができる場所、奈良。

いざ、次回作へ最初の旗ふりが始まる。
まだまだ正式な製作発表には時間がかかりますが、必ずやり遂げる企画。

映画「かぞくわり(仮題)」乞うご期待。

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