Members Column メンバーズコラム

コロナで再確認!改めて大切にすべき価値観

佐々木研 (CH / ミライ企業プロジェクト 事務局)  Vol.528

佐々木研

KNSのみなさま、こんにちは。CHの佐々木研(ささききわむ)と申します。初めての方も多くいらっしゃるかと思いますので、少しだけ自己紹介をさせて頂きます。
私は1979年山口県生まれ。父は当時、日本鉄道建設公団に勤務しており転勤の連続で、私自身も転校を余儀なくされるという幼少期を過ごしました。生まれて間もなく千葉県へ、その後、福岡県、京都府、そして鳥取県と、実に4つの小学校に通学しました。1~2年という短いスパンで引っ越しを繰り返し、どの土地へ行ってもそこには昔からの「幼馴染み」という文化が存在し、よそからやって来た者にはついていけない話など、生活に不満を抱く時もありました。しかし不思議なもので、新しい環境での生活が始まり一週間も経てば、その土地の方言を流暢に話し、コミュニティの全体像を理解し、その中で人間関係を構築していくのです。新たな環境に馴染む「順応性」というものが幼いながら、着実に身に付いていたのだと思います。これは30年経った今でも、私にとって最大の強みになっていると考えています。

現在はCH(2016年5月に独立)という屋号を掲げ、「チャンスメーカー」という肩書を名乗り、大学での講師業や中小企業支援、学生支援、古民家運営など、さまざまなお仕事をさせて頂いております。ちなみに、いろいろとリサーチしましたところ、恐らく日本で唯一「チャンスメーカー」を名乗っている存在かと思います(笑)
独立にあたり、自分自身が大切にしたい考えやキーワードなどを整理していたところ、「CHANCE(チャンス・機会)」「CHALLENGE(挑戦)」「CHANGE(変化)」「CHEER(応援)」「CHAIN(つながり)」というワードが並び、それぞれの単語の頭二文字から【CH】という屋号にたどり着きました。これらの考えを基軸とし、関わる全ての方に素敵な機会(チャンス)と幸せを創出することを理念に掲げ、日々取り組みを進めております。
今回は私がここ数年、最も力を注いでいる「ミライ企業プロジェクト」についてご紹介します。
2013年、キャリア教育の推進、また学生の長期インターンシップをコーディネートしているNPO法人JAEの創業者である山中昌幸さんと、中小企業やNPOの広報支援されている株式会社PRリンクの代表であり、KNSの世話人でもある神崎英徳さんとともに、このプロジェクトを立ち上げました。それぞれ手法は違えど、同じ志で社会に対して活動をしている者同士が協働し、若者の“働く”価値観を耕すため、「社会的理念力」・「自律協働型組織力」・「持続的革新力」という3つの力を高めようとしている魅力的な中小企業である『ミライ企業』を広く紹介し、そのミライ企業と若者の接点づくりを推進してきました。
これまでの取り組みは多岐にわたりますが、例えば、ミライ企業の社会への認知を広げていくために、Webサイト「ミライ企業図鑑 http://miraikigyouzukan.jp」を開設し、また冊子版として「ミライ企業図鑑」を毎年発行しています。この冊子は、主に大学のキャリ教育の現場で教材として広く活用頂き、2019年度実績としては、25大学約3,400名に配布し、授業で取り扱って頂くことができました。他にもミライ企業の社員同士による学び合いのプログラムや、学生とミライ企業が気軽に接点を設けられるようなプログラムを実施しています。そして今ではプロジェクト参画企業同士で非常に強固な信頼関係が構築され、参画企業自身が発案した新たな取り組みが毎年のように生まれています。
そんな中、今年に入って新型コロナウイルス感染拡大という予期せぬ出来事が起こりました。プロジェクト参画企業の中には、大きな打撃を受けた企業も多くありましたが、そこで下を向くことなく歩みを止めないのがミライ企業のみなさん。影響の大きかった企業と、比較的影響の少なかった企業がある中、影響の大きな企業の社員の生活と雇用を守るべく、プロジェクト内で「人手融通」という取り組みを進めようという話が持ち上がったのです。要は、この状況が落ち着くまでの期間、プロジェクト参画企業全体でミライ企業の全社員の生活を守ろうというわけです。(この動きはNHK全国版をはじめ、多くのメディアに取り上げて頂きました)実際にはその後、緊急事態宣言が発令され、影響大の企業は雇用調整助成金を活用するなどの対応策を取られたため、実現には至らずペンディングとなりましたが、このような事態になった時こそ「協働」を推し進めようとされたミライ企業のみなさんのアツい想いに大変感動しました。まだまだ先行き不透明な状況には変わりないかもしれませんが、これからはより多様な働き方が求められると予想されます。こんな時だからこそ、まわりの方々のために、みなで力を合わせて乗り切ろうとする「利他」の精神を持った企業はきっと力強く生き残っていくと確信しています。
改めて、今回のコロナ禍において、ホンモノの企業の姿勢を見ることができました。決して利己的になることなく、利他の精神を持って、関わる全ての人の幸せのために取り組む企業がホンモノの企業であると思います。このような人を大切にする経営を行う企業が世の中に1社でも多く増えることを願ってやみません。

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