Members Column メンバーズコラム

人との繋がりから生み出されるもの

佐々木研 (株式会社シーズクリエイト CSR室)  Vol.247

佐々木研

 KNSのみなさま、はじめまして。株式会社シーズクリエイトCSR室ディレクターの佐々木と申します。少しだけ自己紹介をさせて頂きます。 
 私は1979年山口県下関市生まれ。父は当時、日本鉄道建設公団に勤務しており、転勤を繰り返す幼少期を過ごしました。生まれて間もなく千葉県船橋市へ、その後、福岡県春日市、京都府京都市、そして鳥取県米子市と、実に4つの小学校に通学しました。1~2年という短いスパンで引っ越しを繰り返し、どの土地へ行ってもそこには昔からの「幼馴染み」という文化が存在し、よそからやって来た者にはついていけない話など、生活に不満を抱く時もありました。しかし不思議なもので、新しい環境での生活が始まり一週間も経てば、その土地の方言を流暢に話し、コミュニティの全体像を理解し、その中で人間関係を構築していくのです。

 新たな環境に馴染む「順応性」というものが幼いながら、着実に身に付いていたのだと思います。これは20年以上経った今でも、私にとって最大の強みになっていると考えています。
 今からちょうど3年前、現職である大阪府八尾市の株式会社シーズクリエイトhttp://www.seeds-c.co.jp に入社しました。 コミュニティデザイン部(現CSR室)の初期メンバーとして参画し、本社のある八尾を中心に、関係する地域の活性化に向けこれまで多くのプロジェクトに携わらせて頂きました。環境、観光、福祉、教育、雇用などなど地域によって抱える社会問題はさまざま。 当初は、その中で私たちが力になれる部分を模索する毎日で、たくさんの方にお会いし、地域の未来について語ったり、悩みを共有したりといった日々。そんな時、中小企業の経営者と話していく中で、「次の担い手がいない」や、「若い人なんかウチの会社のことなんか知らない」といった声を数多く聞き、印刷業である当社の活動を通じて何か出来ることはないかと考え始めました。
 「こんな魅力的な社長、企業のことを世の中の若い人たちにもっと知ってもらいたい。 そして若い次世代の担い手が現れて欲しい」と思った私は、大学生に向けた求人フリーペーパーを作るプロジェクトに参画しました。
大阪には魅力的な中小企業が数多く存在します。そんな企業の経営者を訪ね取材をさせて頂き、働くことに対する価値観や自社のビジョンなどをお伺いし、学生ら若者たちが興味を抱くような内容に仕上げていきました。
 またこのフリーペーパーを制作する際、単なる情報誌とならないよう「体験型の就活」をテーマに作成をしました。文字情報だけで企業を判断するのではなく、経営者や従業員の方々と直に触れ、対話をし、その企業がどのような価値観で、なにを大切にし経営をされているのかを直接体感し、学生が自身の価値と照らし合わせられるようなリアルなサービスにしようということで、職場体験や交流会、ワークショップなどをフローに組み込み、新しい就活のあり方を提案しました。
 決して数は多くありませんが、このサービスを通じて優良なマッチングが生まれたことは今後に繋がる非常に価値あることでした。
 この活動を通じて、2人の方との素敵な出会いに繋がっていきます。キャリア教育の推進、また学生の長期インターンをコーディネートしているNPO法人JAEの会長山中さん、そして中小企業の社内外広報を支援し社会性の高い活動を展開されている株式会社PRリンクの代表神崎さん。
 それぞれ手法は違えど、同じ志で社会に対して活動をしている3社が協働し、教育や雇用の問題解決に取り組んでいく「ミライ企業プロジェクト」がスタートするのです。プロジェクト発足に先駆け、3社それぞれの強みを活かしながら、どのようなミライを実現していくのか、といった議論に長い時間を要しました。100年200年と続く老舗企業から多くの学びを得ながら、「ミライ企業」としての指標に取り入れるべき要素をブラッシュアップし、社会的理念力・自律協働型組織力・持続的革新力という3つの力に集約する形となりました。
 そして今、「ミライ企業」を社会への認知を広げていくために、Webサイト「ミライ企業図鑑 http://miraikigyouzukan.jp」をオープンさせ、ミライに価値を残し続けようとする企業、経営者に取材に伺い、情報をまとめ若者に届ける活動を行っています。この活動を通じて、企業が若者と共に地域の未来を育む動きが加速していければと思っています。ミライ企業のまわりには本当に多くのミライ企業が存在します。 近しい価値観が共感を生み、ミライ企業同士が繋がり、日本全国にミライ企業の輪が広がっていくよう引き続き取り組んでいきたいと考えています。
 人と人との繋がりを丁寧に大事に育んでいく、今後もその姿勢を貫いていけば必ず道は拓けると確信しています。「なにをするかではなく、誰とするか」、この考えを日々強く実感しています。今年もたくさんの良い出会いがありますように。

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