Activity Report 活動報告
コミュニティスポット2525&オープン・サイエンス研究会Vol.2 未来を創る愛知県のスタートアップエコシステムとアントレプレナーシップ教育の現状
コミュニティスポット2525を1年ぶりに開催しました。
オープン・サイエンス研究会の第2弾も兼ねましたので、外部から話題提供者をお招きして、アントレプレナーシップ教育を議論する場となりました。
今回の話題提供者は、矢上清乃さん。自身が起業家として活躍しているだけでなく、女性のライフステージに合わせたキャリアアップ、雇用創出、起業支援事業など、本当にいろいろなことをやっている方です。メンターとしてだけでも、AAI起業部(愛知県立芸術大学×愛知県立大学) アドバイザー、NAGOYA CONNÉCT(イノベーション促進/ 交流プログラム)、shakeアクセラレーションプログラム「DRAFT」(名城大学)、MUSASHi Innovation Lab CLUE(イノベーションスペース)などなど。
そんな矢上さんから「未来を創る愛知県のスタートアップエコシステムとアントレプレナーシップ教育の現状」について話題提供をいただきました。
まずは自らの経験から。働きながらコミュニティづくりから始めて、起業して事業を進める中で(初期の頃は収入が月1000円というときもあったそうですが)、プレイヤーが少ないという名古屋の地域性もあって、起業家支援やチャレンジショップの支援をしていく側の仕事が増えていったということでした。そのうち、大学に予算が付いて、名古屋大学等がアントレプレナーシップ教育を行う「Tongaliプロジェクト」がスタートし、2019年には愛知県も日本最大のスタートアップ拠点となる「STATION Ai」構想を立ち上げるという中で、ご自身も愛知県立大学と連携した「AAI起業部」のアドバイザーとしてアントレプレナーシップ教育に関わり始めたそうです。
地域的には、ここ3年ぐらいで内閣府のスタートアップ・エコシステム拠点都市となり、名古屋市も愛知県も経済団体もそれぞれに取り組んで、毎日どこかでセミナーやピッチコンテストが開かれている。学生のマインドも「トヨタに入ればいいんじゃないか」というものから変ってきた。特にこの10月31日にオープンする「STATION Ai」は、2年ぐらい前から多様なプログラムが準備され、昨年秋ごろには176社が入居決定と、一押し、今はその話題で持ち切りだそうです(地域限定のようですが)。
こうした行政の後押しもあって、私たちの中では「スタートアップ」や「産学連携からのエコシステム」という言葉が定着し、当たり前のように使われるようになってきている。20年前くらいのオースティンでの経験から、こうしたことが地域でできると良いな、と思ったことが少しづつ近づいてきているとも感じるが、まだまだ一般の方には浸透していない。また、いろいろな情報が飛び交っているような感覚がある中で、横串で見ていく人が必要と感じている。
一方で、スタートアップ=ユニコーンと捉えて、大きなビジネスになるかならないかという目で見られてしまい、いわゆる王道、そしてディープテック以外は支援・受け皿が遅れている。王道はマーケティング的にも難しいにも関わらず、変わった人によるせっかくのアイデアがこぼれ落ちて、東京に行ってしまうというもったいないことにもなっている。製造業やBtoBが強いのは強みだが、サービスや女性、QCの面が弱く、価値観の多様性が担保されていない。自動車産業がこのままではないから「STATION Ai」を作ったのに・・・その辺りを考えていかないと。逆に、東京のスタートアップ支援の厚みを知ってしまうと、地方は東京経由ではなく、いきなりグローバルを目指した方が良いのかもしれない。人が多すぎる東京に対して、少し頑張れば応援してくれるという面もある。
といったようにお話が進む中で、多岐に亘って話が展開し始めました。●大学でアントレプレナーシップ教育が進められるようになってきたが、担当部署は全大学の支援を受けられるわけではなくて苦労している、●社会課題・探究活動を進めようと思う学生が多く、また社会人と学生を繋ぐ動きも見えてきている、●実際にスタートアップ企業が出てくると、その影響は大きくてこんなに変わるのか、と思ってしまう、●とはいえ、エコシステムの現状は、頑張っている人の「持ち出し」「手弁当」が多い、●営業力やビジネスモデルを学ぶ環境は少ない、●企業が成長するルートを知らない人が多くて、資金調達をゴールと勘違いしてしまう学生も、●(特に学生には)失敗しても立ち直る道も示さなくては、セイフティネットも重要、●アントレプレナーシップは起業家教育と訳されるが、自分自身で生きる力を育てることだと思う。先に答えがあるのではなく、そこにやってみないとわからないよという世界を知ってもらえれば・・・などなど。
いつものように最後は時間切れで、交流会に突入です。もちろん交流会も盛り上がりました。
ありがとうございます。
■日 時 : 2024年7月8日(月)
開 会:19:00(受付開始:18:45)
会 議:19:00から20:45まで(話題提供、フリーディスカッション)
交流会:21:00頃から
■場 所 : ハービスPLAZA 5F会議室(大阪府大阪市北区梅田2丁目5-25)
■主 催 :関西ネットワークシステム(KNS)
■共 催 :梅田MAG(阪神電気鉄道(株))(https://umeda-mag.net/)
■プログラム
◎テーマ 「未来を創る愛知県のスタートアップエコシステムとアントレプレナーシップ教育の現状」
◎話題提供者 矢上 清乃 さん
学び舎mom株式会社 代表取締役(https://manabiyamom.com/)
MBA(米国テキサス州立大学オースティン校)
smips(知的財産マネジメント研究会)産学連携分科会オーガナイザー
金融情報サービス業界を経て、MBA留学後に日本IBMにて製造業コンサルティング、マーケティング業務に従事。2009年に育児休業中に親子支援団体「ママスタート・クラブ」を立ち上げ、2013年には名古屋市中区にて「コワーキングスペース・学び舎mom」運営事業で創業補助金を受け、同年7月に創業。2018年5月に現在の社名に変更。これまでに6000人の女性コミュニティを創造し、経産省や自治体、企業との協働プロジェクトを通して、女性のライフステージに合わせたキャリアアップ、雇用創出、起業支援事業を展開。また、中高生、大学生、留学生向けのアントレプレナーシップ教育事業も推進している。
夫の単身赴任中に名古屋での5年間のワンオペ育児生活を経て、現在は埼玉に転居し、家族3人で生活しながら名古屋への出張を続ける2拠点生活を送っている。