Activity Report 活動報告
第2回ソーシャルビジネス研究会
第2回ソーシャルビジネス研究会のテーマは「教育」。ゲストスピーカーに株式会社CLC 代表取締役 砂田千秋氏をお招きし、「放課後子ども支援事業?独自性と継続性に挑戦する?」をテーマにお話いただきました。
放課後子ども支援事業とは、日本全国に2万か所以上ある放課後子どもクラブでの事業であり、現在、83万人を超える子どもたちが各施設で過ごしています。その多くが、行政、保護者会など非営利団体によって運営されており、自治体によっても取組みに違いが見られるようです。また、そのほとんどが「見守り、生活の場の提供」が主な目的で、これといった体系的なプログラムがないのが現状です。
砂田さんは大阪府堺市を拠点に、堺市から委託された放課後子ども支援事業の他、自主事業のアフタースクールプログラム、幼児教室や英語教室など複数の施設を運営されています。放課後子ども支援事業では、「互いの違いを認め合い、正しく判断して行動できるたくましい子」の育成を基本方針に事業をすすめておられますが、その内容は、これまでの「見守り、生活の場の提供」中心の放課後子ども支援事業にはなかったものでした。
砂田さんは大手新聞社の役員秘書を経て、結婚、出産で数年の海外生活を経験し、帰国後、英会話講師、YMCAランゲージセンターと大阪YMCAインターナショナルスクールの学校運営に携わられました。そして将来インターナショナルスクールを自ら運営したいと考え会社を設立。その頃堺市の公募を知り、見守り中心の学童保育に、体系的な国際教育プログラムを取り入れた事業提案を行い、放課後子ども支援事業の受託を受けられました。
砂田さんの独自の取り組みは、英会話、国際理解ワークショップ、野外活動、堺市内の高校生を招へいし「堺学」の講師をしてもらったり、段ボール製作による夢のまちづくり体験など、社会性を意識したワークショップなどの独自性があって体系的なプログラムを提供することです。この秋からは司法生の協力を得て、法教育プログラムもスタートする予定とのこと。これまでの「見守り、生活の場の提供」中心の放課後子ども支援事業に、基本方針に基づく体系的なプログラムが取り入れられています。
「ソーシャルビジネスをやっているという意識はない」という砂田さん。しかし将来を担う子どもにとって、子育てや海外経験等を通じ、必要だと思うことをどんどん取り入れていかれた結果が、現在展開されている、これまでにない放課後子ども支援事業につながっているのだと思います。
最後に、今の課題である「事業の継続性」について、会場とのクロストークを行いました。
・基幹となる収入の軸を自主事業によってしっかり確立することが必要。
・新規事業のアイデアとして、大型マンションの計画段階から保育システムを組み込むことなどをデベロッパーに提案してはどうか。
・上質のサービスを提供するうえでのプレース、プライスの設定を行うため、マーケティングにより力を入れてはどうか
・子どもの放課後にかかわるサービスは、まだまだ行政が丸抱えしている事業分野。社会への働きかけも重要。
・砂田さんの取組みが広く知られることは、社会的にも意義が深い。もっと広報に力を入れて周囲の自治体や保護者層の関心を集めるとよいのでは。
などの意見がでました。
砂田さんの夢は、インターナショナル教育と日本の公教育との行き来が可能な新視点の「インターナショナルスクール」の開設。そのロードマップの途中にあるのが、現在堺市で展開している放課後子ども支援事業であるように思えました。堺市だけではなく、もっと地域を広めていっていただきたいとのエールも会場から湧き上がりました。株式会社CLCさんの今後の飛躍に大きな期待が寄せられたのを実感した研究会でした。