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補助金活用における“恋愛的思考”のススメ

岡村正彦 (青森県商工労働部経営支援課)  Vol.87

岡村正彦

 KNSの皆さん、こんにちは。今回のコラムを担当する青森県庁経営支援課
岡村と申します。今回、今年3月まで勤務していた、(財)21あおもり産業
総合支援センターで、3年間担当していた「補助金」事務を通じて、感じて
いること書かせていただきます。 
 補助金をはじめとした行政支援制度に関する評価って、手続きが大変で
事務量が多い、新商品開発の道筋が立った・ノウハウや仲間が得られた等
々、否定的意見、肯定的意見様々伺います。たぶん皆そのとおりで正解な
んですね。

 私も、担当者時分、事業者の方が書類を作り込んだけど、実は申請内容と
制度とのずれがある、提案内容(取組内容・事業成果)が審査員に十分に伝
わらない、採択後に補助制度を使いこなせないなど、すれ違いや残念な結果
を目にし、本当に寂しい気持ちになりました。ではこのような状況はどうす
れば避けられるのでしょうか。
 まず、補助金などの公的支援の大半は、当然、メリットはあるけど、事務
手続きがかかるなどのデメリットもあるってこと!これを大前提に、事業者
の方が、現在抱えている現状の中で、活用すべきか、(今は)控えるべきか
を判断する。申請する事業者の方に、このことをきちんと理解いただき、ま
た支援者側もそのようなフォローができれば、前述のようなミスマッチやす
れ違いなどの状況は減っていくものと思います。
 その上で、いかに事務的コストを削減したり、関係者との関係性をうまく
構築できるか、維持していけるかが、補助金を活用した取組みが成功するど
うかの肝になると思います。
 個人的な考えですが、申請する事業者の方と補助担当者、審査委員、連携
先の大学の先生・事業者の方々の関係性って、まさに恋愛の初期段階、片想
いの状況、両想いをうまく続けていくためのアプローチととても似ていると
思います。というのもトラブルの原因が、「制度やルールへの十分な理解が
ない」、「内容を理解してもらえない」。「進捗上の課題について聞いてい
ない」など、ある意味とても人間的で、基本的なことを原因とする場合がほ
とんどだったからです。
 それでは、その補助事業の手続きにおける、3つの大事な段階での留意点
を”恋愛的思考”になぞらえて述べさせていただきます。
 まずは、「申請の情報収集段階」です。テーマは、「恋は焦らず、片想いで
終わらないように・・・。」です。細かいポイントは以下の3つ。
・自分の好みのタイプ(制度)をあらためて考えよう!
 →支援制度をどんな取組み(経費)に活用したいのか。自分は何が課題(試
作品製作、 マーケティング、設備投資等)なのか?
 ・相手(制度)はどんなタイプが好きなの?
 →好きな相手を探る。相手(行政側)は何(施策((新たな取組、新規雇
用、省エネ   等)として何を誘導)を望んでいるのか?
 ・その上で、ラブレター(事業プラン)を書いてみよう !
 →紙に起こすことで考えが整理できたり、気づきや新たなアイデアが浮か
んでくる。
 次に、「申請書作成・審査会のプレゼン段階」です。テーマは、「 (審査員
に、読み止めさせずに)スゥーと読んで“もらう”」です。
 これまでの経験上、読みやすい申請書って、こんな感じです。
 最終的な審査は、外部の方に依頼し、審査いただくのが、一般的です。た
だ、その方々は大変お忙しい場合がほとんどのため、審査委員にストレスな
く、わかっていただくというスタンスで、申請書の作成、プレゼンテーショ
ンを行うのが大事だと考えます。細かいポイントは以下の5つ。
 ・結局、私に何を言いたいの?
 →具体な取組内容・想定される成果など簡潔に説明
 ・オタクな言葉ってわかりにくーい!
 →専門用語はなるべく避け、言い替えや注釈を工夫
 ・自分の自慢ばかりはちょっと引いちゃう!
 →過度な自己評価の表現より、客観的データの活用
 ・プチサプライズなアプローチって好き!
 →文字説明だけではなく、写真やフロー図の活用、サンプル提示など視覚
効果の活用
 ・まわりの意見も貴重だよね!
 →家族・知人による申請書の客観的な感想・印象評を活用
 最後は、「補助事業の実施段階」です。テーマは、「両想いを続けるため
にトラブルはできる限り避けよう!」です。 細かいポイントは以下の5つ。
 ・イベント(スケジュール)は計画的に!
 →本業等との兼合いでどうしても遅れがちに
 ・一方的な関係は不安定
 →協力者・関係者にもメリットが出るよう配慮
 ・キャッチボールは頻繁に
 →迅速な情報共有でトラブルを未然にシャットアウト
 ・相手(補助金)との約束(ルール)は忘れないで
 →決まり事(期限・資料調整)を意識して効率的な事務実施
 ・「褒め」は最大の武器
 →感謝の気持ち・表明がさらなる協力を呼び込む
 補助事業は、一人では出来ません。いかに効率的・効果的に、自分の想い、
考え、取組内容を相手(シチュエーションによって様々)に理解いただき(「い
ただく」という姿勢が大きなポイント)、かつ、動いてもらえるか。これに
よって結果は変わってくるかもしれません。その意味で、”補助金活用の場
も、まさに産学官金連携の縮図の1つ”なのです。
 一言で言うと、まさに「愛」。様々な関係者に「愛」を持って接すること
は、自然と相手に対する気配り・目配り・手配りが出来ている状態になるも
のと思います。
  迷ってばかりの不惑4年目にして、かなり痛い、テーマのネーミングと
させていただきましたが、とりあえずつかみはOK(?)ってことでご容赦
ください!ただ、是非、行政側の人間の一人として中小企業の皆様には、手
間のかかる手法かもしれませんが、行政の支援をうまく使っていただき、こ
の厳しい状況を乗り切っていっていただきたいと考えています。今後ともど
うぞよろしくお願いいたします。

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