Members Column メンバーズコラム

「公共が稼ぐ」まちを目指して

及川隆 (盛岡市財政部資産管理活用事務局)  Vol.332

及川隆

 KNSの皆さま、大変ご無沙汰しております。盛岡市役所の及川隆と申します。
産業振興の現場から離れ早2年。昨年度は市長公室行政経営課、今年度は財政部の資産管理活用事務局という部署で、主に内部管理的な仕事をしています。
今回は、所管事務である「公共施設アセットマネジメント」と「公民連携(国では「PPP/PFI」や「官民連携」と呼んでいます。)」について書いてみたいと思います。

 高度経済成長期に集中的に整備された公共施設は、老朽化が進行し、その更新費用の増大が地方財政における中長期的な課題のひとつとなっています。
 加えて、将来的な人口減少・少子高齢化社会の到来に対応するための社会資本整備の在り方の見直しが求められています。
 このような大きな課題にどう対応し、どう見直していくべきか。
 これまでの右肩上がりの経済成長を前提とした公共施設整備から、低成長さらにはマイナス成長を前提としたダウンサイジングに舵を切り、公共施設の整理縮小を着実に進めていくほかありません。言うなれば「成長社会」から「成熟社会」へのパラダイムシフトです。
 厳しい財政状況下において、将来にわたり持続可能な公共サービスを提供し続けていくため、これまで整備してきたストックとしての建築物系施設を最適化する取組みを「公共施設アセットマネジメント」と呼んでいます。盛岡市においては、平成22年度から公共施設アセットマネジメントに取り組んできており、岩手県立大学内の盛岡市まちづくり研究所における2年間の調査研究の成果をベースに、平成25年度に具体的な取組方針を定めた基本方針を、平成26年度には施設用途毎の取組の方向性を定めた長期計画を、平成27年度には個別施設計画となる中期計画(10年間)と実施計画(3年間)を定め、平成28年度からは計画の実行段階に入っています。
 これらの計画は、市公共施設の在り方を根本から見直し、施設の拠点化や転用・複合化さらには譲渡や解体により、総量の縮減を進めていこうとするものです。一方で、今後も継続して利用する施設については、大規模改修と修繕を計画的に実施することにより、80年使用を目標とした長寿命化を進めていくこととしています。
 計画策定に当たっては、施設利用者からだけではなく、むしろ施設を利用していない市民からの意見をしっかり取り入れることを重視しました。その理由は、税という形で施設の管理運営に要する経費を負担しているのは納税者(市民)であり、施設利用者だけの声をもって見直しの方向性を決めることは、逆の意味で不公平となると考えたからです。
 また、幅広い市民の意見を聴取するために開催した「まちづくり市民討議会」においては、公共施設の視察やグループ討議を重ねる中で「施設総量を縮減し複合化・多目的利用への見直しが必要」「統廃合や民間委託の具体的な検討が必要」「不要なハコモノは思い切って解体し土地は売却」といった意見が多く出され、計画策定に反映させることができました。
 計画を着実に実行していくために、現実問題として一番必要なもの。それは「財源」です。施設の更新や長寿命化に要する費用をどうやって確保するのか。
 ひとつの方法は、未利用資産の売却です。施設を集約・縮減すれば、余剰となる建物や土地が発生します。これを売却し、得られた収益を財源として充てるわけです。
 しかしそれだけではまだまだ不十分です。そこで目をつけたのが「公民連携」手法です。
 公共施設とはいえ、整備から運営までのすべてを必ずしも公共でやる必要はない。民間事業者と連携し、公共の仕事に参入していただこうと考えました。
 具体的には、産学官民が一堂に会し公民連携事業のノウハウ取得や官民対話を通じた具体の案件形成を目指す取組(地域プラットフォーム)や、公共施設の現況や今後の更新計画を公表し、民間提案につなげていく取組などの仕組みづくりに取り組むこととしています。
 しかし、たとえ地域プラットフォームという対話の「場」をつくったとしても、プロジェクトの創出につながらなければ意味がありません。さらに、プロジェクトは、メンバー間の信頼関係がベースにあってこそ成功につながるものです。そこで重要になってくるのがメンバー間の関係性の深化と、信頼できるメンバー同士のコミュニケーションを促す仕掛けづくりではないでしょうか。
 インフォーマルな場(飲み会)で顔の見える関係性を構築した上で、案件に応じてフォーマルな場(仕事)でプロジェクト形成につなげていく・・・まさにINS・KNSの手法が非常に有効ではないかと考えています。
 こういった取組を通じて、地域の産業が活性化し、民間事業者の競争力が高まり、民間が主役のまちづくりにつながっていくことが、持続可能なまちという大きな目的に一歩近づけるのではないかと考えています。
 将来を見据え、民間事業者としっかり連携し、「公共が稼ぐ」まちにしていきたいと思います。

PAGE TOP