Members Column メンバーズコラム
鹿児島大学における観光への貢献 -「かごんま旅プラン」
中武貞文 (鹿児島大学) Vol.518
KNSの皆さん、こんにちは。鹿児島大学の中武貞文です。産学連携はどうしても理工系、ライフサイエンス系のイメージが強くなりますが、本日は観光に関する鹿児島大学の取り組みをご紹介します。
■新型コロナと観光
新型コロナ禍で全国の観光業が大きな打撃を受けています。鹿児島県でも2020年3月以降の観光客の落ち込みは著しく、3月だけでも前年比の半分という報道もあり、4月以降はさらに落ち込んでいる、これまで経験したことのない状況との声も聞かれます。新型コロナの早期終息と往来の制限緩和を関係者一同待っている状況ですが、依然として感染の拡大傾向が続いており、国が主導するGOTOキャンペーンは東京の除外が決まったとのことです。終息後の観光業の速やかな立ち上がりを目指して各所で取り組みがはじまっていますが、鹿児島でも「ウェルネスかごしま健康増進魅力プロジェクト」が始まりました。
■ウェルネスかごしま健康増進魅力プロジェクトとは
> 新型コロナウイルスの影響により、国内外において「健康」に対する意識が高まっています。そこで、世界に通用する「健康・癒やし・長寿」など元気になれる有益な地域資源を有する鹿児島県の強みを発掘するプロジェクトを始動しました。
> その名も「ウェルネスかごしま 健康増進 魅力発掘プロジェクト」。
> 新型コロナウイルス収束後は、鹿児島の“強み(ウェルネス)”を国内外に効果的に発信し、付加価値の創出・向上や観光客の誘致などにつなげ、来訪者に健康になっていただき、鹿児島も再活性化することを目的としています。
> 応援団長には、薩摩大使としてもご活躍頂いている宮下純一氏に就任いただき、鹿児島大学ご協力のもと、産官学連携して取り組んでいます。
https://www.kagoshima-kankou.com/feature/hakkutsu\_project/top/
■かごんま旅プランと研究者
鹿児島大学は、このプロジェクトの中の「かごんま旅プラン」に監修として加わりました。この企画は、「コロナが収束したら出かけたい!」「県外の人にもおすすめしたい」という鹿児島の魅力がつまった旅プランを全国から募集(147件の応募)し、うち審査で選ばれた9プランについて かごんまLove総選挙外部リンク と題した投票企画を実施、投票によってグランプリを決定するというものです。私の所属する産学・地域共創センターにて旅プランから学術的キーワードを抽出し、研究者をマッチングし、7名の研究者に、それぞれの旅プランに学術的な背景を解説する「応援コメント」を寄せて頂きました。以下に旅プランと研究者氏名を記します。
1. 「薩摩川内市 甑島って読める? リフレッシュ非日常離島旅」
北村 有迅(理工学研究科理学系 助教)
2. 「沖永良部島・与論島 南の島を満喫 マイクロツーリズムプラン」
本村 浩之(総合研究博物館 館長)
3. 「曽於市・霧島市 おいしい寄り道で 自然たっぷり満腹旅行」
宮田 昌明(医学部保健学科 教授)
4. 「三島村 2泊3日で秘湯巡り 三島の硫黄島・黒島へ」
井村 隆介(共通教育センター 准教授)
5. 「姶良市 里山の自然に触れて 星降る蒲生ロマンチックデート」
高桑 繁久(理工学研究科理学系 教授)
6. 「種子島 Wellness in Tanegashima」
鈴木 英治(国際島嶼教育研究センター 特任教授)
7. 「南さつま市・指宿市・鹿屋市 古事記ファン必見 満開の桜と日本発祥の地を巡る旅」
乕尾 達哉(法文学部人文学科 教授)
■終わりに
日頃から大学内の研究者と交流を行い、教員の研究内容を把握している部署であるため短期間でマッチングを行うことができました。この企画提案にすべての先生が積極的に協力頂けたことは地域貢献を掲げている鹿児島大学の底力とも感じました。さらに各分野の専門性が観光に振り向けられたときに「従来にない視点や視座が見出される」という発見があり、旅プランに新たな価値が付与されていく過程を目の当たりにしました。この新たな取り組み、スポットで終わらせることなく継続していけば、面白いコンテンツを大学が関わりながら創出できるのではないかと感じています。上手く言語化ができない段階ではありますが、特に産学連携に関係がないと思われてきた科学系・人文社会系の知見を社会に活かす方法の一つになるのではと考えています。KNSでも観光は多くの方の興味・関心を牽く分野と考えます。整理出来ていない考え、私案でありますが、是非、ご意見を頂きたいところです。そして最後に一つ皆様にお願いがございます。「かごんま旅プラン」もうしばらく投票期間があります。是非投票をお願いいたします。