Members Column メンバーズコラム
人生の偶然
永山光悦 (岩手県大阪事務所) Vol.75
「偶然だね?」日常生活の中で誰もが経験していることだと思う。
私もこれまで、いく度も偶然に遭遇してきた。
今年、東日本を襲った大地震・大津波、偶然その場にいて被災した方、
いつもいる所にいなくて偶然に被災を免れた方、様々なものがあったと思う。
実は、今回の震災がきっかけで、私は27年ぶりに岩手県の高校の同じクラスで
机を並べていた同級生と大阪で再会することができた。
経緯はこんな感じである。
ある日、岩手県の出身で大阪市内の療育施設の厨房で料理長をしていると言
う方から、「職場で岩手の食材を使った料理を特別メニューとするイベント
を開催するので、岩手県のポスターを数枚もらえないか?」という電話があ
った。
震災以来、多くのイベントで「東北を応援したいので、ポスターが欲しい。」
という問合せをいただいているが、数が足りないため、やむをえずお断りす
る場合もあるのだが、その時は、すぐ送ることで返事をしてしまった。ポス
ターの在庫管理を担当している職員からは、「在庫が少ないのに・・」と怒
られながらも数日たった頃、ポスターを送った先から、お礼の手紙が届いた。
当日のメニューと料理長の顔写真が入ったチラシが同封してあったので、な
んとなく読んでいると、料理長の名前が同級生と同姓同名であった。しかも
写真を眺めていると帽子をかぶっていて分かりにくいが、なんとなく見覚え
のある顔に見えてきた。「まさか」と思い。電話してみたところ、やはり同
級生だった。向こうも「もしかしたら・・・」と思っていたらしく、喜びあ
いながら、今度、一緒に飲もうという話になった。
数日後、住吉大社の近くにある彼の自宅に招待され、彼の奥さんとも一緒に、
岩手の思い出や大阪での話題で話が途切れず、終電までお邪魔してしまった。
彼は10年前に大阪に移住して、こちらで結婚したとのことだったが、同級
生に会えたのは初めてと言っていた。
私が大阪に転勤することになったのも、たまたまであったが、いつも不思議
な出会いが多い。このKNSも、その一つである。
大阪に来るまでは、KNSの存在もよく知らなかったのに、いつの間にか、
力不足にも関わらず世話人の一人として迎え入れていただき、岩手の為にと
多くの方から支援をいただいているのである。ときどき自分の無力さを恥じ
たくなることがある。神様から「おまえは、さぼってばかりいるから、みん
なを見習え!そのために素晴らしい人に出会わせてやっているんだ。」と言
われているように想うことがある。私の人事異動に神様が手を加えているは
ずは無いと思うが、これまで異動先では偶然と言う言葉だけでは、片付けら
れない出来事が多い。
「事実は小説よりも奇なり」とよく言われるが、人生の偶然を楽しみながら、
出会いを大切にしていきたい思う。