Members Column メンバーズコラム

2回目の英国訪問、一部珍道中

長坂泰之 (独立行政法人中小企業基盤整備機構)  Vol.436

長坂泰之

関東支部世話人のひとり長坂です。まちづくりがライフワークのひとつになっています。
今年9月に、12年ぶりの英国に渡りました。目的は、現在の英国のまちの盛衰と郊外の様子をこの目で見るためです。今回は仕事ではなくプライベートで行きました。今日は、一部珍道中も含めて英国の1週間をお話しさせていただきます。
今回はコストと時間のバランスで、往復、香港経由のキャセイ航空を予約しました。英国ヒースロー空港に降りたのが日曜日の朝の6時。今回成田から大学の先生と一緒でしたが、香港から同じ便が取れず、15分後の便で来る予定が、ヒースロー空港上空で待機となり1時間以上遅れの到着になりました。15分後に同じ航空会社で同じ行き先ってどうなんでしょうね。案の定、私の便は満席でしたが、15分後の便は空席がかなりあったようです。

イギリス初日。結局、ヒースロー空港を9時前に出発し、まず向かったのが、ヒースロー空港近くのレディング市でした。英国は中心市街地とショッピングセンターを同じ商業集積と位置づけ、一緒にランキングをしているのですが、レディング市はかなり上位にランキングされたまちです。日曜日の朝10時。まだ人通りは少なめでしたが、これからたくさんの人が出て来るようです。その後、今回6泊のうち4泊させていただいた、ロンドン南西部の電車で1時間ほどの地方都市ファーナムのUさんのご自宅に向かい、荷物を降ろして昼からパブへ。ここはタイ人が経営するタイ料理を出すパブです。美味しいビールを飲みながら(昼間のビールは最高です)美味しい料理をいただきました。お店のみなさんがとても親切。ちなみに、今回のホストのUさんは英国の地方自治体で働く日本人。自宅には9歳のラブラドールちゃん(女性)が。「人見知りが激しいのに珍しく長坂さんには懐いていた」と最終日に聞かされて嬉しかったなぁ(女性だから?)。
イギリス2日目。この日はロンドン南西部のハンプシャー州の州都ウィンチェスター市に向かいました。まちづくり組織のダイレクターに地域価値の向上、図書館の入るディスカバリーセンターの設計を担当した方にその想いを伺いました。平日月曜日の昼間でしたがかなりの歩行者通行量でした。ところで、煮物好きな私。その話しが英国で飛び出し、話しの流れでこの日の夕飯に煮物を作ることになりました(何で断らなかったんだろう?)。イギリスで煮物デビューです。肉とジャガイモを使った煮物というリクエストで答えはそのものズバリ「肉じゃが」。材料はジャガイモ、タマネギ、ニンジン、牛肉。シラタキは英国になし、牛肉はステーキ肉を包丁で薄くスライス。みりんはスーパーで「MIRIN」を買ってきました。
イギリス3日目。この日は人口3万人のまちオルダーショット市へ。都市間競争という点では非常に厳しいまちでした。空き店舗率は大型SCの撤退したビルを含めると19%です。日本の人口3万人のまちを考えるとまだ元気ですが、英国では厳しいまちでした。午後はイギリス南部の港町サウサンプトン市。あのタイタニック号はこのまちから出航したとのことです。人口は23万人でイギリスでは大きなまち。まちの中心部の真横に巨大なショピングセンターがあり、都市間競争では優位に立っています。しかし、タウンセンター(中心部)に人が流れない。そこでタウンセンターに新たな再開発が進めるというまちづくりです。箱モノ中心のまちづくりという印象。うーん。
イギリス4日目。若者から支持を受けているロンドン市内のカムデン地区へ行きました。ここは、最近になってまちのイメージが劇的に変化したまちと言われています。キーマンの方から詳しく貴重な話しを聞くことができました。若者が来るのはいいがドラッグが一番の悩みとのことでした。その日はロンドン泊。皆さんと相談して大学の学生寮に泊まってみました。夏休み期間は観光客などに開放してるんです。学生寮なので簡素な部屋でしたが、その晩は、ロンドンのまち、ソーホー、中華街などを徘徊して寝るだけだったのでちょうどよかったかな。
イギリス5日目。午後から私が今回一番行きたかったまちであるロンドン北西部のノッティンガム市に移動。ロンドンから特急列車を予約したものの予告なしで車両が減り(日本じゃあり得ない)、指定席がダブルブッキングで、途中まで立って行くハプニング。英国の人は文句を言わないということは日常茶飯事なのかなぁ??夕方にノッティンガム駅に着き、初めての夜のノッティンガムを徘徊しました(期待?を裏切り、普通に飲んで食べただけでしたが)。
イギリス6日目。この日は早起きして、LRT (ライトレール)で郊外へ向かいました。パーク&ライドを見に行くためです。確かに、郊外の駐車場は満杯で、中心部の自動車交通量が極めて少ない。パーク&ライドが機能している印象を受けました。このLRTは昔からあったものではなく、中心市街地再生のために新しく敷設したものです。さて、私が何でノッティンガム市に行きたかったかというと、12年前の人通りが今はどうなっているかを確認したかったからです。定点観測ということで、同じ平日の同じ午後1時過ぎに中心市街地のイベントもない同じ場所に立ちました。2核1モールの1つの核のショッピングセンターが工事中にもかかわらず驚くべき人通りでした。同じ賑わいがそのまま残っていることに感動しました(写真は12年前と現在のノッティンガム市の同じ地点)。
イギリス7日目。ファーナムに戻って残りあと1日。その土曜日の早朝に大事件が起きます。ヒースロー空港をその日の18:20発の香港経由成田便(キャセイ航空)が、香港台風直撃で欠航となり、ヒースロー空港発が何と2日後の月曜日、日本到着が火曜日になると明け方にメールが入ったのです。月曜日は祭日でしたが、火曜日は日本で仕事があります。「それじゃダメじゃん」ということで、飛び起きて帰り支度をしていない状況から10分で荷造りをして、ヒースロー空港に向かいました。カウンターで交渉の結果(私が交渉したわけではないですが)、同じoneworldメンバーのフィンランド航空に搭乗手続終了の15分前に変更。ヘルシンキ経由の最短コースで逆に当初よりも日本到着が何と12時間も短縮されました。バタバタ劇でしたが、交渉してみるもんですね。結果オーライでした。このほかにも日本で借りたルーターが充電部分の不具合で使い物にならなかったことなどいろんなことがありましたが、基本的には極めて充実した1週間でした。特に、英国6泊のうち4泊させていただいたUさん宅では、英国の普段の生活を体感することができました。そしてUさん一家の温かいおもてなしは忘れることができません。英国はよく「食事がまずい」と言われますが、日本人のUさんのお陰でまずい料理は一度もありませんでした。
今回の訪問では、タウンセンター(中心部)だけでなく、郊外の実態や住宅事情なども見てきました。まちのタウンセンターだけを見るのではなく、まちを外側から見ることで、内側で起きている現象をよりわかりやすく理解できたように思います。おしまい。

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