Members Column メンバーズコラム

JSTマチプラは、全国に広がる産学網の結び目

長岡由起 (国立研究開発法人科学技術振興機構)  Vol.433

20181022-nagaokayuki.jpg

初めてコラムに投稿させて頂きます。国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)京都事務所マッチングプランナーの長岡です。
マッチングプランナー略して“マチプラ” でお願いいたします。

 JR嵯峨野線、京都駅から一駅わずか3分の丹波口駅すぐの新千本通と五条通の交差点の南側は、京都中央卸売市場の入口になっており、一般車両の通行はありません。なので、市場入口を横切る横断歩道を赤信号待ちをしても前を通過する車両はほとんどなく、関西人なら躊躇なく信号無視をするはずの横断歩道と言えます。

しかし、誰もがこの何も通らない赤信号を我慢強く待っているのです。
 どうしてでしょう?丹波口の通行人が律儀で礼儀正しいということだけでなく、交差点北側の細くて見通しが悪い新千本通から突如現れ、市場に突っ込んで入るトラックやターレの勢いが結構スリリングで、赤信号を無視した見返りが痛くて高く付きそうだからです。(小さな荷台が付いた1人乗りの立って運転する乗り物の名がターレという事を私は最近の豊洲市場移転ニュースで知りました。なんだかカッコいいですよねアレ)

 その市場前の危険な交差点を横切ってすぐの西側、約400 m × 200 mの敷地に広がるのが京都リサーチパーク(KRP)です。

KRPは、大阪ガスの子会社である京都リサーチパーク株式会社によって運営されている創設 1989 年 日本初の民間企業による先駆的なイノベーション創出機関です。
区域内には、研究機関、支援機関、企業の研究部門、ベンチャー企業など400を超える機関が入居し、近距離にギュギュっと集まることによる相乗効果を目論んで活動しています。
この4月から、これまでのグランフロント大阪のJST大阪オフィスに加え、JSTマッチングプランナーの駐在事務所として、KRPの一角に入居し、JST京都事務所としました。
 マッチングプランナー(マチプラ)は、平成27年、イノベーションの芽を全国あちらこちらで育てるために全ての都道府県必ず担当のマチプラが1人は存在するよう、全国に配置されました。現在20人のマチプラが各地域で活動しています。岩手ネットワークシステム(INS)設立からKNS設立まで尽力された佐藤利雄氏もマチプラの1人になります。
http://www.jst.go.jp/mp/matching.html

 JSTと言えば、何らかのお金を配るファンディング事業を思い浮かべる方も多いかと思いますが、我々マチプラも、将来確実に産学連携でイノベーションを起こすと思われる具体的な研究テーマを支援するための小さなファンディングを持って活動しています。
これがまた、落ち着きがないことで・・これまでの変遷について説明してみます。

 平成27年開始当時、その名を「マッチングプランナープログラム探索試験」と言いました。企業に役立つ研究を1年間170万円かけて大学などの研究者にやってもらうその事業は、実はそれより以前にあった「A-STEP探索タイプ」という事業と研究期間も金額も同じであったため、同じものと見なして申請した研究者が多くいたように思います。しかし、過去の「A-STEP探索タイプ」はその採択件数の多さにも関わらず必ずしも具体的な企業のニーズを把握したものではなく、実際のイノベーションに繋がった成果が不十分だと見なされていたため、その二の舞になることを強く危惧されたのです。そして翌年には、
  「そうじゃないんだ実際に特定の企業の具体的な課題を解決するんだ」
と、名前を「マッチングプランナープログラム企業ニーズ解決試験」と名前を変えました。

 そうすると今度は、ある企業の生産性を向上させるなど特定企業の利益のみにつながる課題が散見されたため、
  「ちゃうちゃう!そうじゃないんだ!日本を活性化するようなイノベーションの創出を目指したいんだ!」
と翌年平成29年、「地域産学バリュープログラム」とまたしても名前を変えました。

 地域産学の地域とはなんぞやと言う疑問を残しながらも、JSTが意図するところの課題と申請課題が一致してきたように思います。
 そして今年はJSTのA-STEPプログラムの見直しに伴い、何だか元に戻ったねと言われながらもA-STEPの中に納まり、「A-STEP機能検証フェーズ」として公募を行いました。
金額も平成27年当初の170万円から試験研究300万円と実証研究1000万円コースに変更されています。

 平成27年23人のマッチングプランナーで始まり、プログラムの名前がコロコロと変遷したように、マッチングプランナー各人のモチベーションや目指すところも最初は手探り状態からの出発であまり気持ちがまとまってなかったように思います。

 あれから3年半の年月を超え、今全国のマッチングプランナーは強い連帯感で繋がっています。
全国をカバーするには余りに少ない人数ですが、各拠点でそれぞれが個人プレーで頑張るのではなく、一つ一つの拠点を結び目とした大きな一枚の網として日本全体をふわっと包み込み、産学連携によるイノベーションの芽を育てようと日々活動しています。

現在のマチプラは、地方に配置されながら、一つの事業にとらわれず、JST全体の窓口として対応する唯一の職位です。どんなご相談もいったんは伺います。
是非お近くのマチプラに声をかけて下さい。北海道のマチプラ紹介してよ・・みたいな事でも大歓迎です。よろしくお願いいたします。

JSTはTwitterを始めました!フォローお願いします!
https://twitter.com/jst_info

PAGE TOP