Members Column メンバーズコラム

未来へのバトンタッチ 「後継者を作る方程式」

松田英成 (マツダ(株))  Vol.312

松田英成

最近、仕入れ先の企業が後継者不足で廃業を決めた。
また、同じ日に後継者不足でM&Aでの売却を選択される企業の話も耳にした。
何れも黒字経営企業である。
昨今の中小企業の6割が「後継者不足」であるとか
後を継ぐには様々な問題があり簡単ではないこともわかりますが、
企業が減ると雇用も減り、減少が続くと日本の将来は明るくないと思う。
明るい未来のためにバトンタッチできる後継ぎを作り出す方法はないものかを考えます。

 中小企業は同族経営の親子の関係で受け継ぐケースが多い。
この場合の今まで聞いた子供側の受け継ぐ、受け継がない理由をいくつか紹介します。
【経営者を受け継いだ理由】
・父がやりがいや誇りを持って楽しく仕事している背中を見せていた
・父が人生を楽しんでいた
・父が夢を追いかけていた
・父を尊敬している
・長男なので(兄が継がなかったので)使命感
・父が病で倒れた、他界した、家族を助けたかった
・創業者のおじいちゃんや社員さんがよくかわいがってくれた

【経営者を受け継がなかった理由】
・父の仕事に興味が無かった
・父が辛い姿しか見せていなかった
・父とのコミュニケーション不足
・父子関係がよくない
・父がいつも愚痴や世間を嘆いていた
・父から他の職に就くように指導された
・父が人生を楽しんでいないように見えた

 この様に受け継ぐか受け継がないかの理由はそれぞれ複雑です。ここに紹介した理由以外もたくさんあり背景には様々な要因があると思いますが父親の生き方がどう子供に映っているのかも要因としてあることがわかります。

 子供は小さい時から親の仕事に向き合う環境があり、大人に成長し職業選択を意識する時は父親の行動を一人の大人として客観的に見ていると言う事です。
子供から見て大人が楽しんでいることは悪くはない、「大人が楽しそう」、「大人が楽しくなさそう」と成長期の子供にはそう見えるのではないでしょうか。
職業選択として考えるとその仕事をやっている人に憧れるかどうか
そう言う憧れる生き方をしている大人になれば子供も好きになってくれて
自らバトンを受け継ぎ親子関係も良くなるのではないでしょうか。
親子の場合は親と子で考えず「大人と大人」として考えるという事です。

 子供は一番身近な大人として親の行動をよく見ているということは、
親は子供に対して一人の大人としての情報発信やプレゼンテーション能力が問われるということでもあります。
受け継ぐ者を作れるか、作れないかは親父のプレゼンテーション次第です!
プレゼンテーションの上手い、下手で子供が継ぐか継がないかがきまります!
後継者作りに努力していない人は居てないと思います。後継者不足は伝え方が下手なだけなんです。
みんなが上手くなれば後継者不足は解消できるのではないでしょうか。
物語がおもろくないと子供には響きませんし責任重大です。
ストレートに想いが伝わる、いつも「愉しんでいる背中」を見せることです。
そうすれば共感してくれるはずです。
でも行動だけでは魅力は伝わりません、
一緒に将来の夢を語り未来を共に考えるコミュニケーションも必要です。
きっと後継者として会社の未来もクロスして考えるようになり同調してくれる事でしょう。
そして仕事を通じて成長し世の中の役に立ち、誇りを持ち胸を張って生きている愉しさを共有するのです。

 要は「大人が憧れの人になれていますか」ということです。
100%でなくても歩み寄れる人に。

 それと視野を広げる環境も必要です。
受け継がなかった理由に父の辛い姿など誰にでもある部分的なところしか見えていないのが子供なので視野を広げる必要があります。
方法はいろいろあると思いますが「可愛い我が子に旅をさせる」的なもので
自分で考えて行動し体験することで苦難を乗り越えてくれると信じて
旅立たせるしか無いでしょう。親に頼れない海外留学等異文化が良いのではと思う。家庭や学校だけで学べない経験が得られます。学校を卒業してからだと他の企業に修行にいくことをお勧めする。
そう言う経験を積んで自分の意志に従い自発的に行動するものである。
迷い悩んだ時は相談があるはずです。その時は成長を支援してあげましょう。
今まで気付かなかった親の愛情や周りがどれだけ心配してくれているか分かるはずです。
失敗経験を積み自力で苦難を乗り越えると自信を持つことができます。
諦めずに挑戦して得た自信を褒めてあげましょう。
親が子を尊敬しましょう。
笑って元気に一生懸命生きる原動力に成ります。
自信が視野を広げ気付かなかったところに改めて発見があり憧れる大人として父の存在を見直すことでしょう。

以上の考えに基づき私が思う後継者の作り方の方程式は

中小企業の後継者の作り方=生き方に共感×夢に同調×愉しさ共有+環境

になります。

 ちなみに私自身は「後を継いだ者」の一人です。
なぜ受け継いだのか今思い返えせばこの方程式にあてはまります。
今度は自分が息子で実証する番です。

PAGE TOP