“全日本製造業コマ大戦　大坂夏の陣”開催

岸野浩通 (コラボレックス株式会社)  Vol.177

さて皆様、タイトルに書いております「全日本製造業コマ大戦」というイベントをご存知でしょうか？
最近では、コマにまったく興味のなさそうな行きつけの美容院の女性に「コマ大戦って知ってる？」と尋ねると「あっ、なんか最近、NHKとか新聞で見て知ってます?。」という反応を聞くこともあり、徐々に関西でも知られてきているのかなと思ったりしております。

この「コマ大戦」。実際に参加すると大の大人が夢中になってしてしまうとても楽しいイベントですが、昨年12月に京都で開催されただけなので、大阪在住の方は見に行かれたことがない方も沢山いらっしゃるかと思いますので、簡単に内容をご説明させて頂きます。
自作の直径2?以下のコマ（コマの材質、重量は一切問わない）を直径25?の土俵で回し、土俵の外に出るか、先に止まってしまったら負けという、極めてシンプルなルールです。
しかし苦心して作ったコマも、負ければ勝者に取られてしまい、最終的には優勝したチームが参加したすべてのコマを総取りしてしまうと云う非情のルールで行われます。
とはいえ、優勝すれば、テレビの取材、新聞への掲載等、メディアにも取り上げられ、併せて自社の製作技術をPRすることができます。その上、世の中にはそのコマが欲しい！という方も沢山居らっしゃるので、レプリカコマとして販売まで出来てしまうという販路開拓のおまけまで付いてくるイベントです。テレビに自社CMを出そうと思えば、とんでもないくらいの広告費がかかってしまいますが、この大会に出場するのには、たった5,000円でエントリー出来ます。
因みに第1回全国大会で優勝した株式会社由紀精密さんのコマ（手で回して、軽く3分以上回ります。）は、定価840円のミニチュアモデルのコマが、NHKなどのテレビ、大手新聞社、雑誌（mono magagine等）で取り上げられ、今では8000個以上も売れているそうです。このことは、中小製造業が自社製品を広く世に出して販売したいという夢を叶えることと同じではないでしょうか。

「コマ大戦」の歩みをご紹介しますと、今から1年半前の2012年2月、横浜で産声を上げました。第1回全国大会に参加したのは、関東圏の中小製造業を中心とした21チーム。
それが１年という短期間で、瞬く間に全国の製造業にコマブームとして広がりました。茨城場所、信州場所、渋谷場所（土俵で戦うので、コマ大戦では大会を〇〇場所と呼びます）と3カ所見に行きましたが、かくいう私も、昨年3月に茨城場所を観戦に行くまでは、コマを回して何が面白いんだ？？と思っていました。
けれど、実際に会場に充満していた熱気は想像を超えるものがあり、これは、テレビで見るよりはるかに面白いぞ！と実感しました。そして第2回全国大会に向け、北海道東北予選の仙台場所、関東予選の八王子場所、九州沖縄予選の博多場所、信越北陸予選の新潟場所、東海予選の名古屋場所、中国四国予選の岡山場所、近畿予選の京都場所（弊社コラボレックスも出場）が開催され、全国から製造業の猛者200チーム以上が参加しました。
今年2月の第2回全国大会では、栄えある頂点には、岐阜の「チームシオン」さんが立たれました。シオンさんが「全日本製造業コマ大戦」のホームページで販売されているコマは、コマ大戦で実際に回された方が回すと、なんと15分以上も回るそうです。

なぜ１年ほどの短期間で、これほどまでにコマ大戦が全国に広がったのか。その理由を考えますと、やはり大企業の海外移転で苦境に立たされている、日本の中小製造業に共通する危機感が根底にあるからだと感じます。
大企業から渡された図面を加工するだけの下請けの立ち位置から、中小製造業が自社の製品を消費者に直接販売する「スモールメーカー」へと脱皮していくことも、これからの企業経営において、一つのあり方のように感じています。「コマ大戦」に参加することは、大企業の海外移転で苦境に立たされている日本の中小製造業に、今後、どう生き残っていくべきかという方向性について、大きな光を与えてくれるステージが提供されているといっても過言ではないと思います。

最後に、ご案内になりますが、8月24日13時より、東大阪市のクリエイションコア東大阪にて26チーム（弊社コラボレックスもエントリー）が参加して行われる「全日本製造業コマ大戦　大坂夏の陣」が行われます。第２回全国大会で優勝されたチームシオンさんがエキシビジョンマッチに出られることが決定しております。
当日には、先立って10時からは、「こどもコマ大戦」も行われます。こどもさんがコマを回しているところを見るのも、楽しいですよ。
KNSの皆様、是非一度ご家族お揃いで、24日にクリエイションコア東大阪で行われる「全日本製造業コマ大戦　大坂夏の陣」（入場無料）に足を運んで頂き、日本の製造業の技術と技術の戦いを体感してもらえればと思います。

皆様のご来場を心よりお待ち申し上げております。