Members Column メンバーズコラム

マチナカはどうなる?

加藤富士夫 (三重県 雇用経済部 企業誘致推進課)  Vol.215

 三重県庁の加藤富士夫です。
 前回に引き続き街中の商店街の頑張りについて書こうと思いましたが、大手サービス企業の勢い(戦い)が見た目で分かるくらいにすごいので、それをテーマにします。
 ここ2,3年、三重県内の大規模小売店舗の新設件数は増加傾向で、最近、ようやく建設コストの高騰、開発可能な土地の不足、人手不足等の影響もあり、落ち着いてきています。しかしながら、それも様子見の状態で、先行きが見通せるようになると、また慌ただしくなるものと見込んでいます。

 県内の大規模小売店舗の状況としては、営業時間を早くしたり、駐車場の一部を削って飲食店にしたり、荷捌き時間を24時間化したり、サービスの向上や運営の合理化などを目的に見直すことが目立っています。その中でも、特に立地場所については、激戦を感じさせるくらい同一商圏内に同業種が乱立するような状況です。例えば、スーパーマーケット、ホームセンター等々です。三重県には今までなかったスーパーマーケットが居抜きで登場したり、スーパーマーケットの隣にスーパーマーケットを建設したりして、実に見事な戦略で攻めてきています。そして、消費者の心を惑わせ、しっかり掴んでいきます。独自商品(PB商品)の提供、手作り惣菜や焼きたてパン、新鮮な肉・魚・野菜などの強みを最大限に活かした店づくりを核として、セルフレジを導入したり、遊び場を設けたりして子どもの心を取り込むようにしています。また、その日に仕入れた肉・魚・野菜はその日のうちに売りさばくという新鮮・安さを売りにしたスタイル(営業時間を短くしている)も出てきて、消費者の選択肢が増えています。
 全国的に見れば、イオンモール幕張新都心のような、お店ごとに体験できる巨大モールが登場しており、三重県内の戦いの状況はまだまだなのかもしれませんが、街中の商店街にとっては非常に厳しい状況が続いています。そこで、今後、マチナカはいったいどうなるのか?少し考えてみたいと思います。
 私たちが子どもの頃、30年前、40年前はまだ商店街に活気があって、母親に連れられて商店街で買い物していましたが、今では、飲食店に立ち寄るくらいで、商店街で買い物することが本当に少なくなりました。子どもの頃の風景を懐かしく感じるだけです。私たちの世代より若い世代では、お祭りの場所としか感じないようになるかもしれません。このままの状況で行くと、街中の商店街は街中の住宅街になってしまいそうです。それでは、少し寂しい気がします。
 実は、私は商店街の靴屋さんの家に生まれ、靴屋を継いでいません。店を閉めて、輸入服のお店に10年以上貸しています。当時では家賃も相場より安かったので、直ぐに若者の借り手が決まりました。当然、家と店は別々で出入口も分けていますが、シャッターだけ一緒にしています。そのお店は、若者がよく入っていて、噂では大変儲かっていると聞いています。その魅力は、顧客がオーダーする衣類を輸入してくることばかりでなく、店長の人柄にもあるようです。
このようなお店が商店街に徐々に多くなってくる(例えば、世代ごとにターゲットを絞った店づくりなど)と、商店街に興味を持って歩く人が増えてくるように思いますが、競争を続ける大手サービス企業のサービスを真似ているようなお店では、その厳しい競争の中に埋没してしまい、商店街にワザワザ足を運ぼうとは思わなくなるような気がします。商店街には、ニッチでも魅力的な店づくりに挑戦する若者たちを応援しようとする環境が必要ではないかと思います。商店街の中には、そのような若者たちの動きが芽生え始めているので、これからも期待して、力になれるところを探していこうと思います。

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