Members Column メンバーズコラム
自分らしくおしゃれを楽しむ大人世代へのおすすめコーデ
石橋 智香 (tica ishibashi (イシバシイラストファッションワークス)) Vol.717
こんにちは。イシバシイラストファッションワークスの石橋 智香です。
私は大阪でファッションイラストレーションやアパレルデザイン、ディレクション、そして大学や専門学校での講師として活動しています。今回このコラムを執筆するにあたり、どんなテーマにしようか悩みましたが、私の専門であるファッションについてお話ししようと思います。
普段、自己紹介などでファッションを仕事にしている事を伝えると、「おしゃれって難しい」「どんな服が自分に似合うのかわからない」といった声をよく耳にします。確かに毎年、春夏・秋冬でトレンドが移り変わるため、流行についていくのは大変です。去年買った服が今年はなんとなく野暮ったく見えてしまう…そんな経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
トレンドに左右されず、自分に似合う服を見つけるにはどうすればよいのか。 その答えはとてもシンプルです。それは「自分にとってのベーシックなアイテムを着こなす」ことだと私は思います。
・自分のベーシックとは? とは言っても、「そもそもベーシックって何だ?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。定番アイテムはもちろんですが、その中でも「自分にとって着心地の良い服」が自分のベーシックだと考えています。たとえば、丸首よりも襟付きのシャツのほうが落ち着くとか、胸元が空いたデザインよりもハイネックが好き、といった感覚です。身幅や着丈、袖丈も、着ていて心地よいバランスが「自分にとってのベーシック」になります。
シルエットや丈感は時代によって変化しますが、着心地を重視して選べば、流行に振り回されず、自分らしいファッションを楽しむことができますし、好きなもので身を包むので満足度も高くなります。今の流行を追いすぎるのも、「イタイ大人」になってしまいがち、、、。ですので、流行に惑わされず、自分にとって心が満足する着心地の良い服を選ぶことが、大人のファッションを楽しむコツだと思います。
・どんな色が似合う??
次に、「色」について悩む方も多いですよね。 自分はいったいどの色が似合うのか、似合わないのか、分からない方も多いと思います。今はパーソナルカラーなどの色診断が話題になっていますが、肌や髪の色とのバランスも大切ですし、髪色やヘアスタイル変えると似合う色が変わることもあります。
一般的にベーシックカラーと言えば、白、黒、茶、紺、グレーなどが挙げられます。ですが、つい無難な「黒」に手が伸びてしまいがち。確かに黒は着合わせしやすくスマートに見える効果がありますが、心理的には重く、硬い印象を与える色でもあります。黒髪だとその重さがさらに強調されてしまい、かえって太って見えたり、重苦しい印象になることも多くあります。茶色やグレーはカジュアルさも出ますが、選び方によっては老けて見えてしまう難しい色なので、上級者向けの色だと感じます。
そこで私が大人世代におすすめしたい色が、紺色、「ネイビー」です。 ネイビーは黒ほど硬くなく、上品さと落ち着きがあり、品のある大人の印象を与えてくれる万能カラーです。そして色白の方にも、肌が少し暗めの方にも、また黒髪、茶髪、白髪にもとても馴染みやすい色でもあります。ネイビーにも濃淡がありますが、濃ゆい紺色がどのカラーにも合わせやすくおすすめです。
ただし、ネイビーを選ぶ際に気をつけたいポイントが2つあります。 まずは、上下同じ色でコーディネートする場合です。上下ネイビーのセットアップはフォーマルすぎる印象になりがちで、仕事着や学生服のように見えてしまうこともあります。堅苦しさを回避するには、上下は別の色を選ぶこと。春夏ならネイビーとオフホワイト、ベージュなどの明るいカラーを。秋冬ならカーキやキャメルなどのブラウン系がおすすめです。また、黒と合わせる場合は小物で差し色を加えて、鮮やかさと明るさをプラスするととてもセンスアップします。
もう一つの注意点は、素材選びです。ネイビーは落ち着いた印象を与える反面、選ぶアイテムによっては地味になりすぎてしまうことも。特にカーディガンなどのニット素材やジャージー素材、レースのアイテムは、選び方によっては老けて見えてしまうことがあるので注意が必要です。カーディガンを選ぶ際は、襟付きのカウチンデザインや、バイカラーのボタンのものを選ぶと若々しい印象になります。トレーナーなどのカジュアルアイテムはヨレヨレだとだらしない雰囲気になってしまい地味さも増してしまいますので、ハリ感のあるものを選んだり、インナーに襟付きのシャツを忍ばせるとラフさの中にきっちり感が出て好印象です。女性に好まれるレース素材も総レースだと老け見えしてしまう為、Aラインのふわりとしたシルエットや、夏ならいっそ腕を出してノースリーブの縦ラインを強調するとスマートな印象になります。
・さらにおしゃれを楽しむには
自分が心地良いベーシックスタイルと、おすすめカラーのネイビー。さらにおしゃれを楽しむなら、アクセサリーや小物に遊びを加えてみてください。アクセサリーだけでなく、スカーフやポケットチーフなどの布モノを取り入れると、さらにおしゃれの幅が広がります。ネイビーにプラスして、白や赤を差し色に使ったトリコロールカラーコーデも素敵ですし、ピンクやイエローを加えることで、より明るく、華やかに仕上がります。
靴下を鮮やかな赤やグリーンにしてみたり、ベルトを迷彩やアニマル柄にしてみたり。ポイントはチラッと見せること。コーディネートのベースをベーシックカラーでまとめていると、普段選ばないビビットカラーを差し色にしても不思議と馴染みます。
ファッションは、自分自身が心地よいと感じるものを選ぶことが大切です。誰かに見せるためのおしゃれではなく、自分自身のために「これが私らしい」と思えるスタイルを楽しむ・・・これは年齢を重ね、これまでの経験や自分自身のスタイルを積み重ねきた「大人世代」ならではの特権でもあります。
内面から自信が溢れると、それが姿勢や表情になって現れ、自然とその人らしさが輝き出します。そうすると、どんな服を着ても、いつの間にか「自分に似合っている」と感じられるようになると私は感じます。それが成熟した大人ならではの余裕や魅力になるのだと思います。
自分の好きなもの、自分にとって心地良いものを選んで、それを楽しむ。そうすることで、日々の生活がさらに豊かで楽しくなるはずです。
このコラムが、皆さんのファッション選びの参考になれば幸いです。流行にとらわれず、自分らしいスタイルを楽しんでくださいね。
イラストレーション制作/tica ishibashi
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