Members Column メンバーズコラム

笑ってまちおこし 尼崎のふたつの商店街

堀登志子 (オフィスはなはな)  Vol.581

堀登志子

勤めていた企業をやめて、いわゆる自営業になって約20年。
商店街アドバイザーという肩書きで、「笑ってまちおこし」を掲げて仕事をしています。
ずっと、商店街の中で元気な人を見つけ発掘し、その人が「したい」「やりたい」と思っていることを、精一杯背中を押したり手助けしたりして、言い出しっぺの人の提案が、商店街のひとつの成功例になり、「ああ楽しかった」と笑えればよし。関わっていく人がどんどん増えて、みんなが仲良くなっていけば、それは商店街の力になるし、お客さんも楽しくなる。。。はず。

さて
二年前コロナがやってきました。
この二年間のふたつの商店街をご紹介したいと思います。

ひとつは「塚口商店街」。2020年の早い春、「この状況どうしよう」と話し合って、「知ってもらう」ことに注力することに。GOTO商店街にも採択され、情報誌「笑える今日がここにある 塚口笑店街」を発刊。「コロナで大変ですが、がんばってます」なんて書いてなくて、店主達のいつもの笑顔がたくさん並んでいる情報誌。「これ見ていたら癒される」と役所のロビーに置いた冊子がどんどん減っていきました。「いいまちに見える」とマンションデベロッパーから引き合いがきました。
製作期間は二ヶ月。一店一店取材に回ったことが、お店の消息確認のようにもなって、ひとりでいたらしずんでしまいそうな空気に、光を当てることができたのではないかと思います。
この空気が伝わったのか、隣町から「入会したい」と三店鋪が新しく入会。
今は「塚口商店街ブランド」のたちあげに取り組んでいます。

もうひとつは「アミング潮江商店街」。再開発で35年ほど前にできた商店街。建物は古く、組合入会率が30%という商店街ですが、元気なおばちゃん店主が2人、ひっぱってます。三年前に、協力してくれている近隣高校の学生が描いてくれたイラストを、商店街キャラクター「アミちゃん」に任命。
「着ぐるみにしたら」と言い出しっぺのたこ焼き屋さん。できあがってきたアミちゃんに自らがなって、お店を回って動画撮影まで。彼女の思いつき?を叶えるのために、着ぐるみメーカーに交渉し、スマホで動画を撮り、SNSにあげるのは私。なかなかきついのですが、でも「夢」が叶うことは、たとえそれが思いつきであっても、責任の伴う喜びになるはず。この喜びと責任感が、商店街を元気にしていく力になると思うのです。

どちらの商店街にも共通するのが、コロナの中でもできることを探して、できる限り「いつものように」活動を続けていることではないかと思います。
「できないこと」はおいといて、「できること」を探す。どんな環境になっても、その地に足つけて、なんとか商いをしていく商売人さん達の底力。「しんどいねん」と笑っているたくましさ。

これから少子高齢化で、多くの市町村が消滅可能性都市となると予測されている中、地に根ざした商売人が集まる商店街は、まちの要となっていく。まちの要となる商店街がなくなってしまったまちは、住むのが楽しくないまちになっていく。のではないかと、商売人さん達の笑っている顔を眺めつつ思ってます。

サザエさんの世界。商店街活性を通して、ここに近づけたらなぁと思う私です。

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