Members Column メンバーズコラム

あれから10年。これから10年。

長谷川陽子 (有限会社Willさんいん)  Vol.71

長谷川陽子

 「あぁ、もうあれから10年過ぎたのか。」
 そう、島根には未だ無かった「起業」。
 2000年に人との出会いがきっかけで起業した。
思い起こせば1994年に関西から松江にUターンし
様々な経営者と交渉する仕事して行くうちに、「関西に戻りたい人間!」から
徐々に島根の良さ・松江の良さを実感し、「松江人間」になって行く反面、
「島根には物も無ければ情報もない。島根は遅れている。」などの言葉を聞き、
「何か変じゃない?何で自ら動こうとしないの?」との想いにかられた。

卑下していても何も始まらない、何か自分で出来ることは無いだろうかと模索を始めた時に一つの転機が訪れた。応募していたフジテレビの当時の人気番組「ポンキッキーズ」の地方特派員に選ばれ、局との連絡手段としてMacを付与されたのである。東京と松江でメールの
やり取りをするうちに地方でもインターネットを使えば都会と同じ仕事が出来るとインターネットの可能性に気付いたのである。

 Macだけでなく当時発売されたばかりのWin95にも注目し、ワードやエクセル等の資格を取得して行った。時はまさにインターネット普及時代、全国の都道府県でIT研修が盛んに行われるようになり、インストラクターとして島根県内に出向くことになった。
 手が震えて字が書けなかったおばあさんが、孫宛の手紙をパソコンで作れた時の喜び、足が悪くなって碁会所に行けなかったおじいさんが、ネットで碁の対戦が出来た時の笑い顔。自分にとっては当たり前のことが、「人を笑顔に出来る!人に喜んでもらえる!そうだ、人に喜んでもらえることをやろう!」と思った瞬間でもあった。
 今でこそ「起業」と言う言葉が定着しているが、当時はとにかく「想い」あるのみ。まず、当時勤めていた会社を辞め、その足で税務署に個人事業主の届け出を提出し創業したのである。2000年3月、SOHOデビューの年でもあった。
 島根でSOHOの言い出しっぺとして在宅でパソコンを使って様々な仕事を受注するうちにSOHOのエージェント(登録制)となる有限会社Willさんいんを設立した。登録者数は一時120名を超え、組織の中でキャリアアップセミナーを行い登録者のスキルアップを図るも、個々のスキルも在宅ワークをする意識も異なり、理想と現実のギャップに悩まされるようになった。
 その結果、プロとして仕事が出来るSOHOのみ登録し、未熟なSOHO(SOHO予備軍)は外れてもらうように組織を変えたのである。当時の事を振り返ると今でも心が痛む。希望を持ち登録してくれた方々を育てることが出来なかった自責の念、これが今の教育事業に繋がって行くのであった。
 また、忘れてはいけないのが「想い」である。高齢化率が全国二位(昨年の9月までは連続一位)島根県内の高齢者の笑顔がきっかけで今日がある。だからこそ、アクセシビリティに配慮したWebサイト制作を行っている。単に視覚効果に訴えるだけのWebサイトではなく訴求したい情報を環境やハードウェアに依存することなく表現し、情報迷子にならないようユーザビリティも配慮する。
 「なぜアクセシビリティに拘るのか?見た目が綺麗だったらいいじゃないか。」と聞かれることがある。そんな時はいつも決まって一言「人在りき」と答えている。デジタルな時代だからこそ「人」が大切なのである。インターネットはあくまでもツールである。便利な道具であるインターネットも使い方次第では如何様にもなってしまう。特に昨今、使う側の意識の甘さから犯罪等に巻き込まれるケースや犯罪に利用されるケースが増えて来ている。リテラシーを向上させると共に情報モラル教育を行う必要性を感じている。10年前とは違い、子供達が持っているゲーム機、音楽プレイヤーのiPod、TVがインターネットに無線LANですぐに繋がる環境が整った。
 インターネットの便利さのみが普及し、危険性については後回しになっている感がある。インターネットの危険性とは何か?(なりすまし、チェーンメール等)を大人も理解し子供達に伝えて行かなければならない時代である。10年前を振り返りながら、これから何をすべきか考え、行動する。社名にあるように「Will」強い意志を持ちながら、山陰を元気にして行きたいと思うのである。

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