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ラグジュアリー・ライフスタイルホテル「W大阪」開業1周年

神門英昭 (積水ハウス株式会社開発事業部)  Vol.597

神門英昭

 KNS会員の皆さま、ご無沙汰しております。私が携わったラグジュアリー・ライフスタイルホテル「W大阪」が間もなく1周年を迎えます。2度目の投稿となる今回は、日本初上陸の「W大阪」に少し触れながら、近況報告をかねた投稿をさせてもらいます。
 まずは自己紹介がてらに、これまでのKNSとの関わりと従事した仕事について少し回想。KNSには2008年2月の第20回定例会in甲南大学からの参加となります。仕事のほうは積水ハウス株式会社の開発事業部でデベロッパー事業(不動産開発事業)の事業企画推進等に従事しています。これまでKNSでは共同事業で参画していた大阪駅北地区先行開発プロジェクト(グランフロント大阪)について、着工前の段階から定例会のプレゼン大会で開発テーマであった知的創造拠点「ナレッジキャピタル」の紹介をさせてもらったり、ナレッジキャピタルとは何か、どんなものものができるのかをPRするトライアルイベントやプレ開催していたナレッジサロンにKNSメンバーの方々に参加していただくなど、たくさん交流支援をいただきました。

 自社の大阪市内の大規模な単独事業としては、御堂筋沿いでセントレジスホテル大阪がある本町ガーデンシティ(2010年竣工)、ランボルギーニのショールームがある本町南ガーデンシティ(2011年竣工)、壁面後退空間を含めた御堂筋の新しい景観・にぎわいを生み出したこの2つの不動産開発事業の実績があります。私は担当ではありませんでしたが、ビルオーナー企業の一員として、御堂筋のまちづくり団体「御堂筋まちづくりネットワーク」(エリア:土佐堀から博労町の御堂筋沿い)の活動に参加し、2014年から7年間は、にぎわい創出部会長を勤め、会員の皆様とご一緒した取り組みについて、何回かKNSのプレゼン大会で報告させてもらいました。
 「W大阪」は「御堂筋まちづくりネットワーク」のエリアよりわずかに南で、心斎橋駅から北へ徒歩3分ほど。黒いガラスカーテンウォールのシルエットが特徴。頂部の南北に白い「W」のサイン。黒いミニマルな外観の中に、刺激的な遊び心あふれるカラフルな空間。建築設計者(日建設計)とインテリアデザイナー(オランダのConcrete他)の共創が結実し、御堂筋の新しいシンボルの一つとなりました。ただ泊まるだけではなく”目的地”となるホテル。クリエイティビティを解き放つ「大人の遊び場」。いろいろな表現で語られ紹介されており、WEB等でもご覧いただけますが、百聞は一見に如かず。ぜひ一度、3階のLIVING ROOMという名のロビーラウンジ等「W大阪」の世界観をご体感してください。
 計画がはじまったのは2016年後半でした。自社でセントレジスホテル大阪やザ・リッツ・カールトン京都(2014年開業)などのホテルプロジェクトを手がけていたものの、私自身はホテルを担当したことはありませんでしたが、新たな御堂筋のシンボル・にぎわいの創造ということで「W大阪」の担当となり気合がはいりました。しかし、何分これまでラグジュラリーホテルとはあまり縁がなく、旅行といえば温泉系旅館、ホテルといえば出張で泊まるビジネスホテルといった具合でした。
 1998年ニューヨークで誕生した非常にエネルギッシュな「W」ホテル(当時はスターウッド。現在はマリオットブランド)。個性的なインテリアが特徴の「W」ホテル。どう地域性を活かし、どう造りこみされているか。実際にゆっくり滞在しないとわからない。自分自身が体感理解しないと、プロジェクトメンバーに空気感を伝えられない。ということで、プライベートな旅行で、シンガポール・香港・上海・バンコク・クアラルンプールの「W」に滞在しました。初のSPA体験も。何事も体験してみなければわからないですね。どこのLIVING ROOMでもDJビートとカクテル文化が溢れていました。
 実際に設計デザインするのは建築設計者、インテリアデザイナーなのですが、ブランド実現のための様々な調整ごとをこなし、一緒に創り込んでいくことがデベロッパーの仕事となります。企画から設計段階、工事中そして開業前といろいろな山場がありました。基本計画設計段階に、何度も何度も検討が繰り返されました。プールと中庭とバーのゾーニングがまとまった時が、「W大阪」の見せ場の一つが形づけられ、プロジェクトが大きく進みだす瞬間でした。写真がそのシーンの一部です。昨年の夏、この中庭で「W大阪」オリジナルのシャンパンとカクテルを飲んだ時の気分は最高でした。
東南アジアはホテル宿泊料金が安いので、「W」以外にもいろいろ滞在し、すっかりホテルライフを楽しむことが身に付きました。その目的の一つがプールで泳ぐことです。海外には行けませんが、コロナの合間をぬって国内でリゾート気分を味わったりしています。
 真逆かもしれませんが、昨年、キャンプ再デビューしました。焚火を見ながらのウイスキーをちびちび飲むのも最高です。

 グランフロント大阪の開業(2013年4月)と前後して、うめきた2期地区のコンペがはじまり、参画していました。2018年に事業者の一員となり、現在は2024年夏の一部街びらきに向けて工事が進んでいます。3ブランドのホテルができ、ヒルトンのライフスタイルブランド「キャノピーbyヒルトン大阪梅田」が最初にオープン予定です。

昨年2021年3月16日に日本初上陸オープンしたラグジュアリー・ライフスタイルホテル「W大阪」が間もなく1周年を迎えます。
安藤忠雄にデザイン監修いただいた御堂筋側ファサードの縦スリットに仕込まれた4本のライン照明と頂部の白く光るWサインは、夜間伊丹空港に着陸する飛行機の窓からも見つけることができます。WのLED電球には数色の調光設定がされています。
さて、3月16日の夜は何色に輝くのでしょうか?
今シーズン、黄色に輝くことはあるのでしょうか?

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