Members Column メンバーズコラム
企業理念が荒波から船を救う
土井未央 (株式会社PRリンク) Vol.137
初めてコラムを担当する、神戸市在住 土井と申します。
どうぞよろしくお願いします。
KNSのみなさんは大阪にある一風変わった会社、PRリンクをご存じでしょ
うか。2008年、大阪市創業支援施設 メビック扇町で船出を果たし、現在は
淀屋橋に事務所を置き、広報を生業とする小さな会社です。今日は、「事業
の目的は子どもたちが安心して暮らせる社会への実現」と定めた理念にこだ
わり、社会的な企業の広報活動支援に取り組む、他には見かけないPR会社の
話をしたいと思います。
「ぶれない企業理念と共感の輪に支えられ」
念のため断わっておきますと、同社はれっきとした株式会社であり、NPO
のような非営利団体ではありません。今と違って、社会起業家など耳にもし
ない設立当時、社会性を強く打ち出した企業姿勢とそのビジネスモデルに「ビ
ジネスはそんなに甘くないぞっ!」と、異議を唱える人が少なからずいまし
た。また事実、企業利益よりも社会性に傾き過ぎていました。
約4年半が経ち、その間、長引く不況や大災害による人々の価値観の変化、
ソーシャルメディアの台頭による情報発信の多様化など、事業環境は大きく
変化しました。それに合わせ、サービス内容も変わってきましたが、こだわ
り続けたのが冒頭の企業理念。荒波に見舞われ、時に事業が行き詰まりかけ
た時も「子どもたちが安心して暮らせる、より良き社会の実現」への信念は、
船底の重しとなってPRリンク船を救ってきました。社内で亀裂が生じれば、
皆で理念の原点に立ち返りました。何より、その理念に共感し、応援や叱咤
激励する人たちの存在がありました。ぶれない企業理念と共感の輪が同社を
守り、育てたのです。
「新しい荒波と新たな可能性を予感させる“学生通信社”」
今年4月、新たにPRリンクは学生が中小企業の魅力を情報発信する任意団体
「学生通信社」を立ち上げました。これも理念に基づき、魅力ある中小企業
の埋もれた情報を学生目線で発信し、次世代育成をも視野に入れた活動です。
スタートから約半年。迷走はあれど、配信した記事は60にのぼり、来期の学
生記者募集、選定も進んでいます。今後もこの活動を継続するためには、一
定の利益を生む仕組み作りが急務ですが、先日「地域仕事づくりチャレンジ
大賞2012」に関西代表として入選するなど、小さくも確実に次世代教育への
共感の輪は拡がっています。来年1月に創業から丸5年を迎える同社、今まさ
に「風変わり」から「真に社会に必要とされる企業」への脱皮を果たすべき
時期が訪れようとしています。
「何度も身を投げようとした4年半」
そんな会社に創業から身を置く私ですが、それまで大型船(社員が何千人
もいる経営基盤が強固な企業)に乗船していたため、この4年半の間感じた
荒波と揺れは恐怖でしかなく、船から何度も身を投げようとしました。しか
し今も乗船し、何故か生き残っています。さらに周囲の理解に支えられ、昨
年大胆にも次男をぽぽんと産み、現在2人の男子を育てながらワークライフ
バランスを模索中です。ここまで来れたのは、企業理念の存在と、仕事を通
じて人生の宝と言うべき出会いがあったからだと思います。(そのなかのい
くつかはKNSが与えてくれました!)ドラマチックな揺れに未だ慣れず、安
定航海を切望していますが、多少は海や景色を楽しめるようになったのかも
しれません。
最後に、一風変わってるといえばPRリンク船の船長K。現在、KNSの世
話人も兼ねています。どんなに船が揺れようと沈みかけようと、プーさん的
風貌で笑顔を絶やしません。穏やかな人柄と理念に対する強固な信念で、今
では各地の広報セミナーに講師として招かれています。皆さんも一度、“謙
虚な変態”の一人、Kの人柄に触れてみてくださいね。