VERTDESIGN（ヴェールデザイン）という取り組み

秋山秀一 (兵庫県立大学)  Vol.118

私たちは会場の王子動物園前広場にテントを２区画お借りし、イベントを開
催しました。神戸芸工大の学生達は子供を対象にしたデザイン・ワークショ
ップを、兵庫県立大学では子供向けのシャボン玉遊びや、大学（MBA院生）
が酒造と共同開発したお酒の試飲会などを実施しました。このお祭りはその
名の通り家族が対象ですので、どちらの企画もすぐに子供たちや家族連れで
一杯になりました。

さて、このお祭りになぜ参加しているのかといいますと、神戸芸工大と一緒
に取り組んでいる共同プロジェクトの一環です。プロジェクトの名称は、
VERTDESIGN（ヴェールデザイン）といいます（VERTとは緑の意味です）。
大学発のデザイン×マーケティング・プロジェクトとして、企業や地域に対
してソーシャルでサスティナブルな提案をすることを活動のコンセプトにし
ています。

今の大学に赴任した時に、地球環境や社会問題に対して専門であるマーケテ
ィングの立場からも何か提案をしていかねればいけないと思っていたのです
が、たまたま神戸芸工大学の先生から声をかけていただき、2009年から自
主的に活動をスタートさせることになりました。VERTDESIGNでは、この2
年間でいくつかのプロジェクトに取り組んできました。主なプロジェクト名
称だけ挙げると、王子動物園プロジェクト／灘プロジェクト／ワークショッ
プ／はたんぼキッチンCSAなどです。

このうち、今回の「六甲ファミリーまつり」への参加は、灘区や王子動物園
に対する提案とも関わりがあります。例えば、まつりのポスターやステージ
の新しいデザインを芸工大より提案しています。またコミュニケーション・
ペーパー「O.z. cafe（オズカフェ）」を制作し、今回ちょうど刷り上がった
第3号を来場者のみなさんに配布することができました。

昨年度、私たちはまつりの来場者を対象にアンケート調査を実施しましたが、
灘区内の回答者のうち約4割が居住年数10年未満の人であることがわかり
ました。また、灘区自体にもここ数年人口が毎年1000人以上増加している
そうです。

コミュニケーション・ペーパー「O.z. cafe（オズカフェ）」は、そんな新・
旧世代、あるいは灘区内・外の人々、様々な人々とのコミュニケーションを
促進するために作成しています。その時に、デザインとマーケティングの発
想がとても重要となるのです。学生達も取材や執筆を行い、実際に出かけて
配布します。地道で手間がかかりますが、コミュニケーションにとってとて
も大切なことではないかと思っています。

VERTDESIGNの活動はまだまだこれからですが、今年も新しい企画を考え
ています。
KNSの皆様にもまたご紹介させていただきたいと思います。今後ともどう
ぞよろしくお願いいたします。