Members Column メンバーズコラム
世界のあるあるから考える日本の未来
金 桂紅 (金国際クリエイト株式会社) Vol.728
新年明けましておめでとうございます。旧年中は本当にお世話になりました。本年も宜しくお願い致します。わたくしのことですが、日中韓英の四ヶ国語の通訳をはじめとするインバウンド関連の会社を立ち上げました。日本に来て長年アウトバウンド関連の仕事をして来ましたが、今はインバウンド関連の仕事をするなんて、人生は本当に色々で、面白いですね。まだまだ新米社長ですが、日々チャレンジと勉強で、大変なこともあれば、充実したこともあり、大変ありがたく思います。
今から6-7年前で、コロナ前のことですが、ある日本にいる中国人社長から、世界を一周した中国のお金持ち達は、日本が世界一良い国だと言っていると聞きました。当時、私はインバウンドに関してあまり接触していなく、ただ半信半疑に思いました。その後、面白いことにコロナの真っただ中に、中国一のお金持ちとも言える某ネット通販会社の社長がアメリカから日本に拠点を移したとの噂を聞きました。へ〜と思いましたが、その後、タイミングよく、海外に住む中国人の話を聞く機会があり、一連のことが理解出来ました。日本はなんで世界一なのか、これからの日本はどのような方向性、成長戦略に進めば良いかを、私なりに纏めてみました。
まず、世界のあるあるに関して次のことがありました。
1.一番印象的なのは『アメリカは車輪上の国』であることです。アリメカ人は殆ど郊外というか、山の中のような所に住んでいるそうです。しかし、地下鉄、公共バス、新幹線などは全くなく、80歳、90歳でも車を運転する必要があるそうです。車が運転出来ないと、買い物難民になり、庭師に庭の手入れのついでに買い物を頼んだりするそうです。それでも生活が成り立たないと老人ホームに行くしかないそうです。
アメリカでは居住地域の開発時に車での移動をベースに考えて設計するそうです。そして、車の運転年齢も16歳からで、高校生が車を運転して学校に通うケースも多いそうです。前トランプ大統領が脱炭素の国際会議を離脱すると聞いたことがありますが、これはアメリカの実情に基づく堅実な方針だったのではと思います。
アメリカに公共移動手段がない理由の一つには、ホームレスによる危険性を回避したい点があるそうです。アメリカには比較的にホームレスが多いですが、日本と違い、ホームレスとすれ違う際に襲われる危険性があるそうです。しかし、ホームレスは車を持っていないので、公共交通がないと、住宅地に接近出来ないそうです。皮肉にも、公共交通がないメリットもありますね。
2.アメリカ独特のゼロドル購入政策。アメリカには貧困層の保護政策として、スーパーで千ドル未満の買い物をするとお金を払わずお店を出ても良いと言うゼロドル政策があるそうです。その為、スーパーの周りには、ホームレスなどが集まりやすく、治安の問題があるそうです。その為、アメリカの居住地開発においては、家の周りに、スーパー、コンビニ、自販機、レストラン、カラオケなど、一切の商業施設を設けないそうです。結果的に、醤油を買いに行くにしても車で行かないと行けないし、普段の買い物は週に一回か、二週間に一回になるそうです。
ゼロドル購入の為、スーパーの赤字が酷く、閉店するお店もあるそうですが、閉店すると住民の利便性を確保出来ないと言う理由で、行政より開店を命じられることもあり、矛盾もあるそうです。
3.アメリカの人口よりも多い銃の数。アメリカの人口は3.4億位ですが、銃の数は4.3億位だそうです。非常に銃が多く、治安が悪いそうです。そして、警察の業務実行においても危険性が多く、警察は比較的に簡単に容疑者に銃を撃つこともあるそうです。
例えば、交通違反があると、警察はサイレンを鳴らせず、パトランプだけを回しながら、静かに尾行するそうです。運転手は警察の尾行に気づいたら、速やかに道路の脇に車を止め、車から降りず、両手をハンドルの上に置き、手に銃を持ってないことを見せて、大人しく運転席に座って待つのが正しい対応だそうです。変に車を降りたり、ポケットに手を入れたりすると銃を持っていると誤解され、危険な目に遭い易いそうです。
アメリカには『お城法』があり、風と犬と神は家の中に入れるが、その他は国王もダメと言う説があるそうです。その為、誰かが勝手に家の中に入ると銃で撃つことが出来るそうです。
4.アメリカは子供と女性への保護がかなり手厚いそうです。もし旦那さんの浮気などで離婚した場合、旦那さんは前の奥さんが再婚するまで、前の奥さんに結婚当時の生活レベルが維持出来る額のお金を送ってあげる必要があるそうです。同時に子供への教育費も送ってあげないと行けません。もし、素性が悪い奥さんに会うと、奥さんは彼氏を作るけど中々再婚してくれなく、結果的に男性が経済的に破産し、鬱になり、ホームレスになるそうです。ホームレスの三分の一は、このような理由によるものだそうです。
ホームレスのもう一つの理由としては、麻薬の合法化により、麻薬を吸って精神異常をきたす人が多いそうです。
専業主婦の場合、結婚して一定年数が経つと、ご主人の年金の半分の額を、年金として政府から支給されるそうです。しかし、ご主人の年金は1ドルも減らないので、かなり手厚い女性保護になるそうです。
5.アメリカ、ヨーロッパにも共通することですが、難民の生活保護に掛かる財政負担が非常に大きいそうです。日本の生活保護よりも手厚く、財政をかなり圧迫するそうです。且つ、難民の多くは教育レベルが低く、仕事に着くのが難しく、泥棒、強盗などを犯す人も多いそうです。
結果的に暗くなったら安全の為に男性でも外を歩かないのが普通の生活スタイルで、万が一外に出かける場合は、車で出かけないと行けないそうです。
6.アメリカでは、人が住んでいない家を見つけて、そこに勝手に住み始めて何年間経つとその家は、勝手に住んだ人のものになるそうです。この法律の発端には、空き家防止があるそうですが、あまりにも無謀で、泣き寝入りする人が多いそうです。
7.アメリカ、ヨーロッパに共通する点ですが、人手不足の問題がかなり深刻で、人件費がかなり高いそうです。その為、レストランはかなり高く(例えばランチを一回食べようとすると3000-4000円ぐらい掛かるようなイメージ)、レストランに行くのは月に一回、或いは何かのイベントぐらいだそうです。そして家の修理は、業者に頼まず、旦那さんが行うので、殆どの家には荷物を運ぶ車があるそうです。
車に関しては、新車はドイツ車が人気ですが、中古車になるとトヨダなどの日本車が一番人気だそうです。なぜなら、修理費が高い問題があるのに対して、日本車は壊れない、燃費が良いメリットがあるそうです。
8.アメリカでは12歳以上の場合、親と相談なく自分で性転換手術を決めることが出来るそうです。
9.カナダでは公園、道路などの公共の場所での飲酒は禁止されていて、見えるビニル袋などにお酒を入れると公共の場所で飲むと誤解されやすいので、見えない袋に入れないと行けないそうです。タバコは、売っていると言う看板が出ていないので、売っていそうな所に行って、タバコありますかとコソコソ聞かないと行けないそうです。
10.欧米には500年、100年、50年経つ家に住んでいる人がざらにいるそうです。一部の家は歴史的記念物になり、エアコンも設置出来なく、生活環境は良くないそうです。人手不足のため、全体的に住宅建築、建て替えなどが追いつかない印象です。
特にカナダにおいては、人の増加に対して住宅の建築が追いつかず、住宅が高騰し、持ち家にしろ、賃貸にしろ、かなり高いそうです。給料が安い人は、給料の90%が賃料になると言う説もあるそうです。
アメリカの家は日本の一戸建てと同じく、木造が多いそうですが、家を長持ちさせる為に、1日24時間、年中エアコンを付けているそうです。たとえ半年間家を空ける場合もエアコンをつけっぱなしにするそうです。また、常時エアコンを付けているので、常時窓を閉めているそうです。
11.アメリカ人はブランドの洋服、カバンなどは殆ど使わないが、家の外観、庭の手入れは大変重視するそうです。もし庭の手入れを怠ると管理会社からクレームが来るか、または勝手に手入れを行い、後日費用を請求されるそうです。連続3年間管理費を払わないと、管理会社がその家を売りに出すことが出来るそうです。そして、外観の保持の一環として、外に洗濯物を干しては行けないルールがあるので、各家には衣類乾燥機があり、洗濯物は全て乾燥機で乾かすそうです。稀にどうしても外に干したい家は、裏庭に中が見えないように塀を作って干すそうです。
12.欧米では病院に掛かる場合、まずかかりつけ医に行き、その後大きな病院に行く順番ですが、かかりつけ医の予約に何日かかり、風邪などは待つ間に治るそうです。大きな病院を予約しようとすると普通に何ヶ月待ちで、時には何年待ちもあるそうです。中には待つ時間が長く、悪化するケースもあるそうです。
アメリカは医療費がかなり高く、必ず保険に入る必要があるそうです。風による高熱で救急に掛かって100万円ぐらい請求されたことがあるそうです。保険料が高いほど、医療費が安くなるが、一般の人は給料が低く、殆ど安い保険に入るので、大きな病気になると医療費が高く、大変な目に合うそうです。
中には医療費は無料だけど、救急車は有料と言う国もいるそうです。
13.欧米の人達は給料が出るとすぐ全部使い切るそうです。もし、一ヶ月に一回給料を出すと、給料日の近くになるとお金がなく、犯罪率が高くなるので、一週間に一回給料を出すそうです。
以上、聞いた中で印象深かったことを色々と書きましたが、日本の治安の良さ、生活の利便性は欧米に比べてはるかに良いことが分かると思います。また、国のルールなどに、奇抜なことがあると住みにくさをもたらすのがあると思います。ゆえに、中国のお金持ち達に嫌われると思います。
日本の方向性、成長戦略に関しては下記のように考えます。
1.近年、日本も以前に比べると治安が悪くなったと思いますが、これから少子高齢化の為に、海外からの労働力が増えると、更に治安が悪化する可能性が高いと思います。しかし、治安が悪くなると、海外からの投資家が減ったり、優秀な人材の流入が減ったり、且つ安全対策のためのコストが高くなったりするので、キーになるのは、如何に治安の良さを保つかだと思います。
特に、日本人の誠実で真面目な生き方を見て、正しい生き方を身に付けさせることが効果的だと思います。インバウンド時代には、一人一人の日本人(そして日本の文化に馴染んでいる外国人)が全部キーマンになると思います。真のオールジャパンの総力が問われる時代だと思います。
2.国の法律、ルール作りにおいて、合理的なものにし、政治の力などによる奇抜なものは廃止すべきだと思います。
3.これからの経済活動において、人手不足が益々問題になり、海外の労働力、人材の流入は避けられないと思います。重要なのは、目利き力を高め、有用な人材は積極的に採用するけど、犯罪性が高い国の人は出来るだけ採用しないことだと思います。
4.日本の高度成長期においては、アウトバウンドが凄かったですが、今は海外の技術力も高くなり、アウトバウンドは大変厳しい状況になったし、これからも益々難しくなると思います。反面、インバウンドにおいては、日本にしかない強みがあるので、これからはインバウンドに注力する必要があると思います。インバウンドは裾野が広い、且つ技術力よりもサービス力が問われるので、日本にもってこいのビジネスモデルになると思います。
日本にしかない強みは、お金儲けよりもモラルを優先すること;何事も利益よりも職人の精神を発揮して最高のものを作る一生懸命さ;徹底的なチームワークにより大きなプロジェクトを遂行出来ること;心からのおもてなし;そして何よりも大事なことは、どんなことにおいても信頼出来ることだと思います。これらの日本の強みは、他の国は中々真似出来ないので、日本の隅々に取り入れると鬼に鉄棒になると思います。
5.近年、百円ショップ、スーパーの衣料品売り場に日本製が殆どないのは当たり前ですが、デパートに行っても日本製が少ないのは非常に残念だし、何か違うのではと違和感があります。衣料品に関わらず、他の品物においても類似した現象があると思います。
私は海外に行く時に良く日本製の魔法瓶をお土産として買って行きますが、いつからか私がずっと買っていたブランドの魔法瓶は、日本製がなくなり、海外製のみになりました。日本製は24時間ぐらい保温出来ますが、海外製は8時間ぐらいしか保温出来なく、わざわざ日本から買って行ってもあまり良さが伝わらなく、残念に思います。
そうすると、保温時間が短いけど安いのが良いか、或いは値段が高いけど保温時間が長いのが良いかと言う費用対効果の問題が出て来ると思いますが、世の中には高品質を求める客層もいるので、日本製はそう言う客層をターゲットにすべきだと思います。例えば、ルイ・ヴィトン、シャネルなどがそうだと思います。欧米人は高いので、ブランドものを殆ど買わないそうですが、これらのブランドは、世界中のお金持ちをターゲットにビジネスを展開しています。日本は、人件費が高い、材料費が高い、且つ場所代も高いので、物作りにおいて価格競争力はないです。反面、大変素晴らしい物作りのセンスがあるので、ルイ・ヴィトンのように良い物を高く売る戦略が必要だと思います。同時に、せっかく良い技術とセンスがあるので、益々ものつくりの力を磨き、日本のブランド力を高めるべきだと思います。
6.海外には日本の漫画が好きで日本語を学んだり、日本に遊びに来たり;韓国のK-POPが好きで韓国語を学んだり、韓国に旅行に行ったりする人が多いそうです。つまり、インバウンドは文化の輸出と大変密接な関係があります。その為、漫画、ドラマ、映画、音楽、生き方、断捨離、老後の生活など、文化の輸出がこれから益々大事になると思います。
最後に、日本の高い技術力、日本人の一生懸命さ、そして日本人の優しさが相乗効果となり、世界一素晴らしい国と言えるようになりました。より多くの世界の人々に日本の素晴らしさが伝わり、見習い、そして日本が世界平和のシンボル的な国であり続けることを願います。