Members Column メンバーズコラム
59歳を迎えた語り事 – コロナ禍に翻弄された1年を振り返って
岡本勝幸 (有限会社イットワークス) Vol.548
皆さま、お世話になります。KNS中国支部世話人のひとり岡本勝幸(有限会社イットワークス)です。
厳しい冷え込みが続いた冬場もここ数日は急に温かさを増し、梅の見頃も各地から頻繁に聞こえる様になって参りました。とは言え朝晩はまだまだ冷え込みが続くようで、昼間との大きな寒暖差で体調を崩されない様どうかご自愛ください。
さて、私事で恐縮ですが先週誕生日を迎え、59歳となりました。
早生まれですので、同級生の中には今年60歳の還暦を迎える方もおられます。
ひと昔前でしたら、60歳は定年退職となり第2の人生スタート的な意味合いが強い印象でしたが、
昨今は早期退職も増え、定年自体も65歳まで延長されるケースが増えた様で、以前ほど60歳という年齢は人生の大きな節目という感じではなくなりました。
私自身は21年前に起業しまして、組織の中での定年退職という選択肢は無くなりましたが、まだまだこれから一旗上げる気概で仕事との格闘に明け暮れる日々を送っております。
一方で、5年前に腎臓移植手術を受け、多くの方々に助けられながら今年には生着率(移植した臓器が機能している確率)5年90%を何とか乗り切れた感じです。ただ、次に控える節目となる10年目の生着率は75%と急落し大きな壁となります。
「新型コロナウィルス感染拡大」という大きな障害となる新たな外的要因も発生し、更に厳しい状況は続くと考えられますが、体力や体調維持に充分気を付け、自制や節制にも努めつつ、無理なく毎日を過ごしていければと思うばかりです。
この1年間で、それまでの生活様式や社会環境を想定以上に大きく変動させた「新型コロナウィルス感染拡大」ですが、私個人にも様々な変遷がありました。
生活面では、コロナウィルス感染予防策の基本とされる「手洗い」「消毒」「マスク着用」などは移植手術以降服用している薬等の関係で既に日常的に習慣として定着しているので、全く違和感はありませんでしたが、日頃よりコミュニケーションを取っていた方々と直接会う機会が失われ、対面でない「オンライン」にて画面を通じた意思疎通を図っていく事には、当初なかなか違和感が拭い切れませんでした。
何とか機会や回数を重ねて半年を経過した辺りから少しずつコツや勘どころを覚え始め、KNSでのオンライン活動のお陰もありまして、現在では漸く日常的な行動様式として定着しつつあります。
仕事面においても、感染拡大が顕著となり始め全国的に1度目の緊急事態宣言が発令された昨年
3月ぐらいから新規の案件や仕事の依頼などに延期や中断が相次ぎ、5月末時点では殆ど見込みがゼロとなる状況など、正直な所先行きに不安を抱えておりました。
また、昨年は仕事での出張が全くゼロとなり、自身で遡ってもかつて新入社員として就職して以来約30数年間で初めての事態となりました。
特に首都圏や関西圏の顧客とのコミュニケーション手段が「オンライン」に限定され、画面を通じての会話は増えたものの、従来の対面や面談しながらの仕事の進め方とのギャップを感じ、「オンライン」での意思疎通の難しさや仕事内容の拡がりや奥行きなど質的な満足度にも大いに不満を感じていました。
その後、全国的にも厳しい暑さが増し始めた7月頃から少しずつ風向きが変わり始め、それまで依頼が多くなかった「リモートワーク体制の構築」や「ネット利用でのデリバリー販売システムの構築」など「コロナ禍需要」といわれる案件の相談が増え始めました。
従来からも同じ様な相談はありましたが、今回異なる点は「とにかく短期間で迅速に立ち上げたい」や「補助金などで資金面は問題ない」など本腰を入れた本気モードでの依頼(というかほぼ発注でした)ばかりだった事です。
中でも一番難易度を極めたのは「東京の顧客へリモートワークシステム一式を納入し設定を行って稼働させる事」でした。何せ出張で出向く事がままならない事態でしたので、地元(広島)で機材調達を行い、顧客事務所内(東京)のネットワーク環境を念頭に置きつつ(不明な部分は予想しつつ)導入や動作の設定を行ってから機材一式を発送し、「オンライン」で設置の指示を行いながら動作確認してもらい、何とか無事に導入し稼働に漕ぎ着けました。特に社内LAN接続では既存のプリンタやファイルサーバなど周辺機器がネット上で多数稼動していた中で、納入した機材がほぼ一発で動作出来た事が、何より嬉しかったです。
また、昨年末より「オンライン学習研修システム」の構築及び運用を開始しました。
地元流通関連企業から「新型コロナウィルス感染拡大で従来行っていた社員や拠点先、関連企業の研修が出来なくなり非常に困っている」との相談があり、様々な企画を提案しましたが「研修教材を動画で制作しインターネット経由で社員や各拠点、関係企業先に各々視聴してもらう」という基本線で決定しました。
ただし、動画を視聴するだけでは学習効果を図りづらい事から「動画の視聴状況を個別に記録して最後まできちんと視聴したかどうかを明確にする」システムを導入しました。
ごく当たり前の様に聞こえますが、この内容を実際にシステム化して構築運用するのは相当難しいです。
現在約4,000名分のIDを管理し、7本の動画を配信して稼働させております。
企業の担当者や管理職からも大変喜ばれ重宝されており、今後は動画視聴後のアンケートやテストなどをシステム内で実施したり、動画でなくライブ配信での研修を企画するなど、更なる活用を目指したシステムの拡張も計画されております。
既存のパッケージシステムは利用せず、様々なサービスを組み合わせつつ足りない部分は全て独自に開発を行い、久し振りに大量のプログラムコードを力技で書きまくり、しっかりとプログラミングのリハビリ(?)を受けた心持になったのは収穫の一つでした。
なかなか先行きが見通せず不安増す日々が続いた昨年前半から、後半そして今年に入って以降、全く正反対の多忙かつ多彩な毎日を過ごすという、正にジェットコースターの様な高低差激しいこの1年ではありましたが、この貴重な経験を糧としまして、これから先の限られた(?)生活や仕事の中で、更に充実した時間が過ごせる様にしっかりと自制しつつ前向きに歩みを進めたいと思います。
最後に、掲載させて頂きました写真画像は、昨年9月に唯一家族で出掛けた際に撮影しました、宮島は厳島神社沖に鎮座します大鳥居の保全修理工事の風景です。
通常であれば朱塗りの堂々たる大鳥居が海上に鎮座し、広島を代表するシンボルの一つとして拝観する事が出来ますが、一昨年より工事が始まりこうして全体を足場組みで覆われた姿となっております。
因みに、工事完了は「未定!?」だそうで、出来ればこの「コロナ禍」が収束出来た頃に再び壮大な姿を拝めるよう願ってやみません…
こうした大工事は「70年に1度」との事なので、ある意味貴重な姿を見られるのも今の内となります。
広島へ、そして宮島へ出向かれる機会がありましたら、是非この姿を拝観されるのも一興かと思います。
それでは、今後とも宜しくお願い致します!