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ベトナム国家総合大学 ホーチミン学舎の紹介

田宮康弘 (住友重機械ギアモーター株式会社)  Vol.443

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みなさん、明けましておめでとうございます。東海支部の田宮と申します。
私は、2014年の10月末よりベトナムホーチミン市内の“ベトナム国家総合大学 社会科学・人文学部 ”のベトナム研究・ベトナム語学学科に留学していました。丸4年間ホーチミンで生活をし、併せて名古屋のマンションの家賃等々を支払う二重生活をすれば流石に財政がピンチとなり、今は名古屋で生活ができる程度の派遣社員としての生活をしております。皆様にお会いできる機会が少なくなっていましたが、来年度には定例会など積極的な参加をしたいと思います。宜しくお願いいたします。

今回は私がベトナム語留学で通っていた、「ベトナム国家総合大学 ホーチミン学舎」の紹介をしたいと思います。ベトナムには国立大学は2つしかありません。ベトナム国家総合大学ハノイとベトナム国家総合大学ホーチミンの2つです。あとは私立とカレッジと短期大学で、ベトナム国家総合大学はベトナム人にとっては超難関の大学です。ベトナムの大学入試は、高校の卒業試験と大学の入学試験が一緒になった「共通試験」があり、受験後に、送られてくる自分の点数結果を大学に提出し、点数上位から募集定員までの人が合格となります(ただ、入試制度が毎年がらっと変わるので、受験生がかわいそうなぐらい混乱しているようです。)例えば、私の通っていた社会科学人文学部の2015年度の定員は650名。ここに25000人が応募し、なんと競争率が38.5倍です。したがって学部内の学生さんは所謂「超エリート」で、4~ 5年の浪人生活は当たり前とのことです。

でも、心配ご無用。ここへのベトナム語の語学留学であれば、授業料さえ支払えば、試験などはなく、留学・受講可能です。私の学科は社会科学・人文学部のなかの「ベトナム研究・ベトナム語学科」です。

【1. 場所】
「ベトナム国家総合大学 ホーチミン学舎」は学部ごとにキャンパスはホーチミン市内に点在し分かれています。社会科学・人文学科は、ホーチミン市1区内。ホーチミン市にお仕事や旅行で来られた方であれば、「中央郵便局から徒歩5分程度。」といえばピンと来られる方も多いと思います。このキャンパスは、社会科学・人文学科の大学院のキャンパスです。1年生から4年生までの学部生は、ホーチミン市郊外にキャンパスでの授業となっています。

【2. 授業時間】
授業時間は1日2時間(正確に言うと50分、10分休憩、50分です)で月曜日から金曜日までの同じ時間です。大学の1時間目は8:00 – 9:50。2時間目は10:00 – 11:50、3時間目は13:10 – 15:00、4時間目は15:10 – 17:00です。夜間コースもあります。

【3. 授業内容とテキスト】
カリキュラムは、初級・中級・上級の3種類あり、それぞれ初級では2冊、中級は2冊、上級は1冊のテキストによる授業です。これを約2か月(80時間)で半分消化します。
初級のテキストは、ベトナムで生活するにあたり必要となる場面での会話ができるように構成されていて、毎日少しずつ進んでいきます。英語による説明ですが、英語圏でない留学生もいますので、その点は全く心配なく。身振り手振りを含めて分かりやすい例題を交えて説明してくれます。例えば、自己消化をする際に「あなたはどこから来たの?」「ホーチミンにはどれぐらい生活してるの?」や、タクシーに乗った時の道案内の仕方、家族構成の説明、レストランでの注文の仕方、フロントでのブッキングのやり方など、その日の授業がマスターできれば、そのまま外に出て使える具体的な内容となっています。ホテルや喫茶店などで親しい人ができれば、そのまま、授業内容を試すことができて、なかなか面白いですよ。ベトナム人は、基本的に「日本人はベトナム語を喋れないし、勉強しようともしない。」と思ってますので、ベトナム語を勉強している日本人を見ると、すごくびっくりし、また応援してくれます。「今日は何勉強したんや?」といった具合に、テキストの復習もできますよ。こうなると、ベトナムどっぷりとなりますよ。
こうした内容をグループクラスで実施します。だいたい5人以上15名以下の編成です。(希望した時間帯のクラスが5名以下となると開講されませんのでご注意を。)初級テキストには英語の解説が併記されていて、巻末には、テキストに出てきたベトナム語と英語の辞書がついています。また、テキストの中でヒアリングと読解の部分は、CDもついています。

【4. 講師の先生】
月・水・金曜日と火・木曜日で2人の先生が担当します。基本的には同じ先生が初級から上級まで持ち上がりとなります。私の場合はすごく相性の良い先生に当たったのでとてもラッキーでした。もし受講の際には、気に入った先生に当たると良いですね。

【5. 留学生の国籍・年齢層】
本当の多種多様です。ベトナム人は先生だけです。写真のグループクラスでも、さながら「国際交流の場所」です。一番多いのは韓国人で約40%ぐらいです。
年齢層も多種多様で、写真でのグループクラスのクラスメイトは私以外は20代と30代ですが、中級クラスの時には40代のフィリピン人の女性、50代のトルコ人男性、私と同じ年のベルギー人の男性、さらには65歳の定年退職したシンガポール人の男性もいて、多種多様です。この人たちとプライベートで会話する際も、もちろんベトナム語です。(面白いですね。喫茶店でベトナム語でお互いしゃべっていると、ベトナム人がおかしそうな目で笑っていたのが印象的です。)

【6. 概算費用】
留学に関する費用面のご説明をします。
①授業料
2か月単位(80時間分)で5,600,000ベトナムドン(10,000ドン=約50円、つまり28,000円)です。開講日の3日前までに授業料を支払えば5%オフとなります。
②ビザ
ベトナム国家総合大学では、1日4時間以上、週5日以上の受講生であれば、留学ビザがもらえます。これば大学が準備してくれます。私の場合では6か月のマルチビザで14,500円と変更申請時に10ドルでした。ということで私の場合は、午前の10:00?12:00まではグループクラスでの受講+午後の13:10?15:00までは、先生と1対1のプライベートクラスを授業の復習を兼ねて受講していました。プライベートクラスの授業料はグループクラスの授業料の5人分を支払えば可能です。先生一人を生徒一人が2時間拘束すると考えれば、案外明朗会計ですね。プライベートクラス2時間+学内の自習室で2時間自習するでも良いそうです。とにかく1日4時間大学内で勉強していれば、留学生ビザがもらえます。
2時間の場合は、大学から留学ビザはもらえません。この場合は3か月の観光ビザをとなります。
③宿舎
予算に応じて大学が斡旋し、必要とあれば下見も可能です。大学の寮やホームステイなどの希望にも対応してくれます。寮費は1日10ドル、ホームステイの場合には朝夕の食事代として1日+5ドルです。
④その他
留学前に時間に余裕があれば、大学と宿舎(当初はホームステイでした)の下見に行くことをお勧めします。
多少ベトナム語の知識のある方であれば、大学の下見時に「能力テスト」が受けられます。この点数によって受講開始のテキストの出発点が決まります。私の場合、片言のベトナム語を知っていた関係上、初級テキスト1の後半からの受講開始となりました。おかげで、初級テキスト1の前半で徹底的に教えてもらう発音の部分が欠けてしまいました。おかげで4年もベトナムにいたのに、現地ベトナム人からは「ヤス(私の現地でのあだ名)は、ちょっと発音が悪い。」と冗談を言われる始末です。(笑い)

【7. 留学を斡旋してくれた会社(アジア文化センター)】
上記のことを1から1人でやるのは、はじめは大変です。私の場合「日本アジア文化センター」さんを通じて留学を申し込みました。大阪の第3ビルの裏手側にあったと記憶しています。出張説明会も東京・名古屋・福岡で実施されているようです。
見積もりもすべて現地価格そのままで+利益10%という非常にわかりかったです。見積提示時には、大学からアジア文化センターに提出した見積書も添付されていて、この内容も大学が留学生に対しても同様で、何の裏表もありません。空港からのピックアップサービスなど希望があれば、対応してくれます。
「親切だなあ。」と感じたことは、当初は6か月間のみの留学でしたが、テキストが中途半端に終わることと、勉強と生活が面白くなってきたことで、アジア文化センターさんに6か月の留学延長を申し込んだところ「うちを通じて申し込めば留学費用は10%上乗せされるので、直接大学に申し込めばどうですか?。テキストの進捗では田宮さんは2冊目に入っているので、ベトナム語で大学事務所に申し込んでみたら?。多分出来るはずよ。」言っていただき、笑いも含めて感動しました。当時のアジア文化センターの友松さん(私の担当の女性の課長さんです。)には、ベトナム生活の最初の2か月ぐらいは大変お世話になりました。この書面を借りて御礼申し上げます。

【8. その他】
授業の復習とベトナム人とのベトナム語での会話機会の一環として、留学1年後から、現地ベトナム人に対しての日本語のレッスンと日本語検定2級3級対策の家庭教師、さらにはベトナム語でのギター教室、さらにはボランティア活動などができるようになりました。すべて大学の授業が発端で、現地での人材も出来、幅広く語学留学を体験できました。

【9. 終わりに】
KNSの皆様の中には、会社経営者の方々、会社海外担当の方、あるいはいろいろな政策を打ち出そうとしている役所・大学関係者の方が多いと思います。ベトナム進出や、駐在・長期滞在をされる際には、是非大学でのベトナム語の勉強をお勧めします。ベトナム人と母国語で会話すると親近感が増しますし、なによりびっくりされます。日本人向けの日本語版の現地ガイドフリーペーパー(無料雑誌)も良いですが、直接話をしたり、現地新聞を読んだりできたほうが、より一層ベトナムのことが分かります(良いも悪いも)。
もし、これをお読みいただいたKNSの皆様の中で、ご興味があれば、メールなどでご一報頂ければ、私の知っている範囲での実体験などをお話しできればと思います。皆様のご参考になれば幸いです。

長くなりましたが、乱筆失礼いたしました。

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