Members Column メンバーズコラム

真っ暗闇とKNSは似ている?!

土井未央 (株式会社PRリンク)  Vol.265

土井未央

KNSメンバーのみなさんは、暗闇体験施設「ダイアログ・イン・ザ・ダーク(以下、DID)対話のある家」をご存知ですか?2年前にグランフロント大阪の一角にオープンした、完全に光を遮断した空間で日常生活の様々なシーンを体験できる施設です。この真っ暗闇が、実はKNSと似ているかもしれない!?今日はDIDの暗闇を、私の仮説(妄想)と合わせてご紹介したいと思います。


グランフロント大阪北館4階の住ムフムラボ内にある「DID 対話のある家」

■見えない恐怖から心地よさ、懐かしさへ

“純度100%の暗闇“と呼ばれる「DID対話のある家」の中は、すぐ目の前にかざした手さえ見えない、まさに漆黒の闇に包まれています。そこに、初対面の人も含めて最大6人のグループで入り、入り口で渡される白杖を頼りに、“アテンド(案内人)”と呼ばれる視覚障がい者と一緒に行動します。
私は2014年の夏、初めてこの施設に足を踏み入れました。照明が煌々と照らす入り口から薄闇の小部屋へ。そこでアテンドから手渡された白杖を握りしめ、少しずつ真っ暗闇になるのを待ちます。まったく見えなくなると心細く、恐怖心が募りますが、側にいる人たちの声や気配で少しずつ落ち着いてきます。そして壁や白杖、時に前の人の肩を持って恐る恐る、足を前に踏み出しました。
その後の様々な体験はネタバレになってしまうので割愛しますが、約1時間、視覚を完全に閉ざすことで、手触りやにおい、聴こえてくる音に対して普段以上に敏感になっていました。また私の場合は最初の恐怖心は消え、何だか懐かしく、最後は「もう少し、ここにいたい」とさえ感じていたのです。

■人の温もりや優しさを思い出す暗闇

もともと、ダイアログ・イン・ザ・ダークはドイツの哲学博士 アンドレアス・ハイネッケ氏の発案によって1988年に生まれました。暮らしの中で行う何気ない動きを暗闇の中で体験、五感を駆使し、コミュニケーションを楽しむ。その過程で多くの人が視覚以外の様々な感覚の可能性と心地よさに気づく。あるいは、声をかけ合うことの大切さ、人の温もりや優しさなどを思い出したりする。これまでに世界約35カ国・130都市で開催され、700万人以上が体験。日本では2009年、東京・外苑前に常設会場ができ、2年前には積水ハウスとのコラボレーションによって、関西初となる「DID 対話のある家」がグランフロント大阪にオープンしました。すでに日本でも、約15万人(2015年3月現在)がDIDの暗闇を体験しています。

■立場の逆転が、互いの理解や思いやりに繋がる

DIDの根底にある思想は、暗闇を通して人と人との関係性を回復すること。そして、多様性を認め合い、よりよい社会の形成を目指して対話すること。これらを「エンターテイメント」として人々が楽しむというDIDならではの仕組みが、私は好きです。
確かにDIDを体験してから、私は目の不自由な人への印象が変わりました。それまでは、周囲のサポートが必要な人たちだと決めつけていました。けれど「暗闇のエキスパート」であるアテンドは、DIDの空間でオロオロする参加者を、頼もしくリードし、日常とは完全に立場が逆転します。これは条件が変われば、普段視覚に頼り切っている健常者がたちまち弱者に陥ることを暗示します。そして立場の逆転は「多様性を認め合う」ことを頭ではなく、心で理解することに繋がっているような気がします。また、暗闇では参加者同士が頻繁に声をかけ合う。そんな丁寧なコミュニケーションに触れ、日常でいかに、声をかけ合い、細やかに意思を伝える努力を怠っているかを実感します。これは、メールが当たり前になったビジネスの現場でも、当てはまりますよね。

■共通点が多い、DIDの暗闇とKNS

DIDの空間では参加者同士がニックネームで呼び合い、老若男女も肩書も視覚による先入観もなく、フラットな関係を築きます。だから素の自分に戻り、心が開放されるのかもしれません。
そして、ふと私は思ったのです。DIDの暗闇は、KNSと似ているかもしれない。KNSは参加者が背中に背負った看板を脱ぎ捨て、互いにフラットな関係性を築き、交流・協働していくコミュニティ。お互いを理解し、コミュニケーションを深め、生まれる信頼関係を大切にする会です。私自身、KNSでは会社員としてではなく、個としての自分を意識するようにしています。そして、仕事から離れたあらゆる出会いや対話からたくさんの元気をもらっています!
「フラットな関係」「対話」「コミュニケーション」…。KNSとDIDの暗闇には、いくつかの共通点があると私は思います。であるとすれば、例えば、KNSメンバーでDIDを体験したり、KNSの定例会で会場を暗闇にしてディスカッションしたり!きっと、KNSメンバーのみなさんは暗闇で楽しく遊べる人が多いはず。そんな妄想にワクワクします。さあ、KNSのみなさん!ぜひ一度DIDの暗闇を体験して、この私の仮説(妄想)を検証してみてください。そして暗闇とKNSの魅力について、またみなさんと対話できることを楽しみにしています。

■「DID 対話のある家」の詳細
http://www.dialoginthedark.com/event/details.html?no=1652

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