Activity Report 活動報告

コミュスポ2525 Vol.42&第17回地域産業政策研究会

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 コミュスポ2525の42回目は、熊本大学の久保田 弘様に産学官連携に関する話題提供をいただき、議論を進めました。
 じつは、久保田さんは4年ぶり2回目の登壇となります。前回は、熊本・大分地域における半導体産学連携の状況を踏まえつつ、マーケットをにらんだターゲットドリブンな応用研究が必要であり、そこに大学が連携する場面が出てくるという重要な指摘や、下請けしか経験のない中小企業に対して大学がテーマを設定するという形での連携事例などをご紹介いただきました。
 

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 今回は、その話を引き継いで、熊本の産学連携がその後どう発展したか、そして、日本の半導体産業に関わる大きな動きについてお話いただきました。前回も指摘があった多品種量産型を目指すべきという話から、その意味は予測生産ができるようになるということで、そのためには現場で活躍する博士を育てようと努力している話、さらには、Iotに絡めてセンサー技術が伸びているという話、日本では管理技術を持っている職人はいっぱい居るが、それを使いこなす人が枯渇している(例えば、回路設計屋さん)、今は先端技術を追求しても売れる新製品ができなくて、むしろ、どういうアプリケーションを組むか(お客さんの声を聞くのが大事)など、多岐にわたりました。
 質疑応答も盛り上がりました。印象に残ったのは、熊本で半導体における産学連携が成功した理由を聞かれて、一つは「経営者がどれくらいシンパシーを持てるかということが大きい」という答えが返ってきたところ。まさに人的ネットワークの重要性を連想させますが、ここでのシンパシーは「技術が重要だという信念を共に持てる」といった意味だそうです。もう一つの成功要因として、地域に対するアイデンティティ、帰属意識が強いことを挙げられて、熊本に戻りたいという人が多いし、熊本テクノポリス財団の基金に飲み屋の女将さんが1万円、2万円を出資するなど、自分の地域を自分でなんとかしようという機運が強いという逸話には、感銘を受けました。最後は人材育成の話に戻って、毎週のように出てくるトラブルに対して、臨機応変に、その問題の根拠はこれだと数式で指し示すことができる能力が大事で、それは普段からその博士人材の基礎学力を見てもらって、はじめてわかる。だったら、3年間かけて一緒に学位をとりましょうという、企業と大学の先生とのシンパシーが必要という話で締めました。
 もちろん、交流会では熊本料理を囲みつつ、盛り上がったのはいうまでもありません。

■日 時 : 2016年10月13日(木)
  会 議:19:00-21:00

■場 所 : ハービスPLAZA 5F会議室(大阪府大阪市北区梅田2丁目5-25)

■テーマ 「熊本発産学官連携のその後 -日本の半導体産業をどう残すか-」

■話題提供者 久保田 弘さん
(熊本大学教授〈工学部情報電気電子工学科、大学院自然科学研究科〉、理学博士)

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