Activity Report 活動報告
第10回ソーシャルビジネス研究会&MOBIO BOPビジネス研究会
第10回ソーシャルビジネス研究会は、MOBIO(ものづくりビジネスセンター大阪)BOPビジネス研究会と共同で開催、株式会社ココウェル代表の水井裕さんからお話をお聞きしました。
ココウェルはココナッツだけを扱う専門店として2004年に創業。貧しい地域であるフィリピンの農村部の産業振興を目指して、ココナッツオイルなどの食品やコスメ、雑貨などを現地生産し、日本で販売しています。
水井さんは、2002年に途上国の環境問題を学ぶためにフィリピンのベンゲッド州立大学に留学。授業の一環で訪れたマニラ市の北にあるスラム街「スモーキーマウンテン」のゴミ山でゴミを拾う子どもたちを見て衝撃を受け、この問題を解決するためには農村部の産業振興が必要だと考え、着目したものがフィリピン各地にあるココナッツでした。今は大きなブームが到来しているココナッツオイルですが、創業当時は全く知られておらず、フリーマーケットでの対面販売を繰り返したり、イベントを自ら企画するなど、コツコツと活動を積み重ねて認知を広げてきました。
ビジネスを持続可能なものにするために、適切な価格で商品を仕入れ、商品の品質を高め、顧客との信頼を大切することを対外的に宣言。全商品1つにつき3ペソをココナッツ農家に還元する、“WITH COCO FARMER PROJECT”や、リップクリーム1本につき100円を寄付し、中退・不登校等の経験を持つ日本の通信制高校生がフィリピンへのスタディーツアーに参加するための資金をつくる“COCO FUND PROJECT”、2013年11月にフィリピンを襲った大型台風で倒れたココナッツの木を利用して雑貨を作る”COCO WOOD PROJECT”などのプロジェクトを進め、活動に共感するファンの広がりに合わせて、着実に売り上げが増えています。
水井さんが今、一番心配していることは、ココナッツオイルブームの反動が起きないかということ。昔、ナタデココブームが去った後、フィリピンの産業が大きなダメージを受けたそうです。今回のココナッツオイルブームでも、参入する企業が増え、品質の低い商品が市場に出回るなど心配の兆しがあり、ブームの反動でフィリピン産業がダメージを受けないよう、品質の維持やカフェなどの新しい販路開拓などを進めているそうです。
水井さんの将来の夢は、ココナッツのテーマパークをフィリピンにつくること。フィリピン国内での直接雇用を生み出すとともに、オイルやミルク、ココナッツ殻のアクセサリー作りを体験してもらったり、ココナッツを使ったおいしい食事を楽しんでもらったり、国内外の多くの人々にココナッツの素晴らしさを知ってもらえる場所を作りたいからです。フィリピンの貧困問題を解決するため、水井さん、ココウェルの挑戦は続きます。