Activity Report 活動報告
第1回ソーシャルビジネス研究会
KNSに新しい研究会が立ち上がりました。これからもよろしくお願いいたします。
第1回の研究会では、NPO法人Homedoorの川口加奈さんにお話いただきました。
川口さんがホームレス支援にかかわるようになったのは、中学2年生のころ。
当時の川口さんは、「中2病」とおっしゃっていましたが、自分なんていてもいなくても一緒という、そんな時期だったと振り返られます。
「ホームレスになるのは自業自得」という身近な大人の声も耳にしながら当時反抗期でもあった川口さんは、あえてホームレスの方へ炊き出しのおにぎりを配るというボランティアに参加したとき、「孫のようなあなたからおにぎりを受け取る方の気持ちを考えて配りなさい」と言われ、どう対応したらいいかわからない複雑な気持ちのまま、熱いおにぎりをつくり、ひとつひとつ手渡していたのだそうです。
その後川口さんは日雇い現場の過酷さや、ホームレスを生み出す日本の社会の仕組みについて知り、学校で作文を発表したり、新聞を発行するなど伝える活動をオリジナルで開始。新聞には学校の先生から「過激すぎる」と手痛い赤ペンをいれられるなど挫折も経験されながら、生徒たちへ炊き出しへの参加も呼びかけお米を集めたり、釜ケ崎の街歩きを学校で呼びかけ、7つの学校から200人を集め2泊3日のフィールドワークにも取り組むなどの学生ボランティア活動を展開。
その後そうした活動が認められ、ボランティアの親善大使に選ばれ世界中の学生ボランティアの活動家たちとの交流の機会を得た際に、全世界の中高生の活動を見聞きして自分自身が知らず知らず「限界」を作っているのに気づいたといいます。
今のペースは「社会によさそうなことをしているだけ」なのではないか。
ホームレスを生み出す社会を根本から変えるには、計画をたてて取り組むことだと心を決め、現在のハブチャリ事業にいたるまでの細かいステップを刻んでこられました。
川口さんはさまざまな社会企業家支援のためのコンペに出て、先達の企業家のアドバイスをどんどん実行していかれます。
「ニーズの代弁者たれ」
とのアドバイスに対しては、たくさんのホームレスの方へのヒアリングを行い「国の世話になるのは申し訳ない」という声をくみ上げて「半就労・半福祉」の自立ステップの事業化モデル「ハブチャリ事業」につながっていきました。
現在は寄贈を受けた自転車をホームレスだった方々の自転車修理の技能を活かし、メンテナンスをしながら地域でシェアをすることで、放置自転車対策と環境保全といった、地域住民みんなの課題に結びつけた事業をスタートされています。
ホームレスだった方からすれば、支援される立場から社会貢献をする立場となることでエンパワメントになるほか、また、自転車問題×ホームレス問題という新たな組み合わせでのソリューションを生み出すことにより、より多くの人にホームレス問題を考える入り口を提供できます。
川口さんは大学4年生。ちょうどモデル事業を終えたときは就職活動時期。ひとり、またひとりと仲間が抜けていく中で、一人であっても活動を続けることにしたといいます。
「絶対に失敗しない方法は挑戦し続けること」
聞き手の多くがメモを走らせた、とても印象深い一言でした。
地道な聞き取りの中で、ホームレスの方は平均3人の友人があることがわかり、川口さんの事業の計画量も打ち出されています。
大阪のホームレスを2500人と推計し、もし500人のホームレスの人にこのような社会にとってよい価値を生み出す仕事があれば、大阪のホームレスの友達の3人に一人はいい意味で自立に近づいていることにみんなが刺激を受けるようになると、川口さんは考えます。
「ホームレス状態を生み出さないニホンに」
川口さんの挑戦は続きます。
長くKNSの活動にたずさわっていましたが、あんなに拍手がなりやまない研究会ははじめてでした。
川口さんの活動は下記リンクからもごらんください。
http://www.homedoor0.com/
ソーシャルビジネス研究会では、これからも、こうした研究会を開催していきたいと思いますので、ご期待ください!