Members Column メンバーズコラム
40代からの登山、魅力とリスク、そして、安全に楽しむために
岡村正彦 (青森県企画政策部交通政策課) Vol.574
青森県庁岡村です。
新型コロナの影響で、皆さん、仕事やプライベートで、様々影響を受けたり、制約のある生活を送られていることと存じます。本当に、お疲れ様です。
この流行病が速やかに収束に向かい、気兼ねない「日常」と「非日常」を、早く取り戻せることを祈りつつ、このような時だからこそ、今回、アウトドアな「登山」をテーマに書かせていただきます。
自分は、40代まで全く登山経験が無く、キャリアは6 – 7年のビギナー愛好家です。そんなビギナーが感じる、登山の魅力、リスクなど、紹介させていただきたいと思っています。
登山を始めたきっかけは、健康診断の結果→体を動かす必要性→人の繋がりで登山→仕事でも登山繋がりが発生→機会の拡大、とよくありがちなものですが、これがまた、絶妙に重なって、最近まで、ほぼ毎週の山行。このほか、登山情報の収集、登山アイテムのお店巡りなど、ますます時間を使う割合が増しています。
○登山の楽しさ
楽しさは、様々あると思いますが、自分が挙げるとすれば以下の3点です。
・四季それぞれの山の風景(美しさ、厳しさなど)、そして、雄大な自然の造形美との対面→自然と畏敬の念を覚えます。
・澄んだ空気のなかでの心地よい汗、時には、限界近くまで身体を追い込んで、心もスッキリ!→自己と向き合える時間で、身体の中に溜まっていた、黒いものを山に置いてくる、そんな感覚です。
・登山仲間との新たな出逢い、交流、そして、気づき
その結果、生活にメリハリがつき、今、仕事もプライベートも 登山を始めてからの方が確実に充実しています。以前より、日常の細かいことも気にならなく(しなくなり)なりました。
○登山に潜む危険
一方で、登山は、山岳事故を初めとしたリスクが常に伴います。
国の統計によると、15 歳以上の「登山・ハイキング」の行動者は1073万2千人(平成28年社会生活基本調査)で、その50%が、50才以上となっています。ちなみに、同調査の「ジョギング・マラソン」では23%と、登山は、圧倒的に中高年齢者が、多いことがわかります。
こういったこともあってか、令和2年の山岳遭難者数、2294名のうちの67%が、50才以上の方となっています。
繰り返しになりますが、登山は、遭難事故に至らずとも、怪我、道迷い、そして、クマとの遭遇といったトラブル発生の可能性を常に秘めています。
要は、トラブル発生を未然に防ぐため、自らが出来ることを為して、リスクをできるかぎり低減する。これが大事なことです。
このため、自分は、次のことを意識して登山に臨んでいます。
・15時前には下山する登山計画をたてる。当日は、環境、体調、ペースを踏まえ、たとえ山頂まで行き着かなくても、撤退する。→スケジューリングと勝負所
・(ソロ登山以外でも)事前にネット等により情報収集し、登山道の特徴(勾配や分岐等)をイメージしておく。→準備及び情報収集
・地図、GPS等を持参し、自分が居る場所は常に把握できるようにするとともに、家族に行き先を伝えておく。→情報共有
・初めての山は、原則、団体の山行か複数で登る。また、経験のある山でも、ソロ登山の時は、クマ鈴をならし、ラジオをかけ、蚊取り線香を焚き、そして、時折、歌を歌って登る笑(その他 山刀や熊スプレー、電子ホイッスルも持って)→リスク回避
・もしかしたらの精神で、飲み物や装備は、体力と相談しながら、できる限り所持する。→十分な準備
・(登山道や動物など)周囲の雰囲気が何か変わったという感覚(第六感)を大事にする。→周囲に対するアンテナ
・何かあった場合でも、とにかくあせらない。→冷静な判断
※考えてみると、ほぼ仕事へのそれと同じですよね!
○青森のお勧めの山
今年6月で、青森県の山(山と渓谷社)に掲載され、現在登山道が整備されている山は全て踏破できました。この中で、自分がお勧めするとすれば、この5座です。
・八甲田連峰(1,585m青森市、十和田市)
大岳を主峰として高田大岳、井戸岳、赤倉岳、前嶽、田茂萢岳、小岳、硫黄岳、石倉岳、雛岳と10の山々を北八甲田、櫛ヶ峰をはじめ6峰の山々を南八甲田といい、美しさ、荒々しさなど様々な山の表情を体感できる。
・岩木山(1,625m弘前市)
津軽平野南西部に位置する二重式火山で、山容は円錐形、山頂は三峰に分かれ、標高は青森県で一番高い山。山頂までの登山道5ルートはそれぞれに味わい深い。
・白神岳(1,235m深浦町)
世界最大級のブナ原生林が残る世界自然遺産白神山地の主峰。日本二百名山の一つ。海抜数メートルから登山可能。
・戸来岳(1,159m新郷村)
キリスト伝説がある南部地方の秀麗な山。最高峰の三ツ岳(1,159m)と大駒ヶ岳(1,144m)を総称して戸来岳といい、十和田湖の外輪山の一つで、山頂からの十和田湖は格別。
・縫道石山(626m佐井村・むつ市)
下北半島、佐井村の孤峰。津軽海峡に面した半島西部山地に位置する岩山。その特異な山容は、海峡で操業する漁船の目印になっていた。山頂からの展望は雄大。北海道が津軽海峡を隔てて指呼の間にあり、次いで平館海峡を挟んで津軽半島、陸奥湾を間に八甲田山、さらに遠くに岩木山も望める。
○これからの計画と活動の方向性
これからの県内の山は、登ったことのない登山道やお気に入りの登山道を中心に、様々な季節、巡っていきたいと思っています。
そして、県外の山については、東北や北海道の山々から登り始めています。先ずは、東北地方の最高峰を中心に巡っていて、これまで岩手山(岩手県2,038m)、秋田駒ヶ岳(秋田県1,637m)、鳥海山(山形県2,236m)、燧ヶ岳(福島県2,356m)を登り、後は、宮城県の屏風岳(1,825m)を残すばかり。それぞれの地域が持つ魅力を体感できるのも楽しみの一つです。
新型コロナの状況を見ながらですが、出来ればそう遠くないうちに、屏風岳、月山(山形県)へのチャレンジ、そして、早池峰山(岩手県)への再チャレンジをしたいと思っています。
そして、これからの活動の方向性ですが、青森県の登山における課題の一つに、登山道の荒廃が挙げられます。人があまり立ち入らない山など(特に津軽半島の低山)、登山道がどんどん荒れて、藪化が進行しているものです。
魅力のある山が多いのに、つくづく残念なことです。原因は、地元自治体が多忙を極め管理が行き届かないこと、地域住民の高齢化、林業の低迷等様々あると思います。
このため、今年度は、登山者があまり多くなく、ネットに藪情報の記載があった山を登る際には、草刈り鋏を持って登るようにしています。先日、この話を山仲間に話をしたら、同じことをやっていると。
これまで地域や山岳会の方々が刈り払いをしてくれた分を、これからは山を登らせてもらう登山者自らが、きちんした手続きを踏まえて、山の整備の手伝いをする、そんなシステムを作り、活動もしていきたいと思っています。
山の課題も、まさに地域が抱える課題そのものであり、少子高齢社会、ポストコロナ時代は、この方面でも共生、互助の精神が必要と感じています。
○最後に
前段でリスクの話を記載しましたが、登山は、ルールを守り、準備をしっかりとすれば、安全に楽しめるものだとも思っています。
初めて登ろうとする方でも、経験者と一緒に夏の低山からであれば、ヤッケ、登山靴(トレッキングシューズ)、ザックなどの最低限の装備からでも始められます。
是非、地元の山を登って、地元の資源の一つを楽しんでみてください。
おまけ 登山は実際に痩せるのか??(よく聞かれる質問です)
自分の場合は、痩せますが、痩せません。
山に登ると、季節や登山道によりますが、下山時平均で2~3kgは痩せています。
が下山後の食事、飲み物は抜群に美味しいので、どうしても食してしまいます。
意志がものすごく強く、自分に厳しい方であれば、結果は確実についてきます 笑