Members Column メンバーズコラム

初めての海外展示会出展(Salon du sake in Paris)

中川裕之 (中川鉄工株式会社)  Vol.725

最初に自己紹介をさせていただきます。私は大阪は城東区でろくろの技術と同様、金属、主にステンレス鋼を回して刃物で削る旋盤加工で、曽祖父が1917年に創業し、現在弟が代表を務め、107年目を迎える中川鉄工株式会社の取締役会長を拝命しております。昨年10月に代表を弟に継承いたしました。とは言いながら、やることは何も変わっておりません。そして、2014年を始めとして既に4回もコラムを執筆させていただいておりまして、今回で5回目の執筆となります。逆に言いますと、それだけ定例会等の行事に、参加できていないということだと思います。

さて、今回はこの9月末から10月初めにかけまして、ドイツはデュッセルドルフとパリを訪問した際のことをお伝えしたいと思います。弊社には自社商品がございます。ステンレス製の日本酒を飲む酒器でして、現在も売り出し中です。その酒器を海外への販路を拡大しようとパリはエッフェル塔にほど近い展示会場で開催されます日本酒のイベント Salon du sakeに出展するため、9月24日の夜、関空発で行ってきました。その際の色んな出来事を(ハプニング劇)をお送りさせていただきます。

今回の当初の計画段階での行程は下記のような感じでした。

 

9月24日(火) 22:55発のフィンエアーにて出国

9月25日(水) ヘルシンキにてトランジット後 デュッセルドルフへ

         着後 日本食レストラン、日本の伝統品の販売店などと商談

9月26日(木) デュッセルドルフにてリサーチ

9月27日(金) 午前EURO STARでパリへ

        到着後日本食レストランと商談

9月28日(土) 展示会設営 そしてSalon du sake 一般の方向け

9月29日(日) Salon du sake プロフェッショナル、一般の方向け

9月30日(月) Salon du sake プロフェッショナル向け

10月1日(火) 日本食レストランと商談 パリの高級店リサーチ

         20:55発で日本へ

10月2日(水) 17:20 羽田着

          19:55 伊丹着

 

いかがですか?ほんまに観光が無いんです。みっちり商談・リサーチ・展示会対応で一日丸々埋まっている日ばかりでした。少しの時間のずれが、かなりの影響をするようなタイトなスケジュールでした。

しかしながらヘルシンキで次に乗る機体が欠航。そこからがハプニングの始まりです。次の飛行機まで3時間超をトランジットで待機しないといけなくなりました。その後の商談に大幅な乱れが生じまして、先方のアテンドいただきました方々には、多大なるご迷惑をお掛けしてしまいました。

デュッセルドルフで2泊いたしましたが、大きな目的はオンラインで商談させていただいておりました方々との商談です。日系の企業様で、ドイツ国内で飲食店を多数経営されておられるお会社の責任者の方です。その日は営業先にずっと同行いただきました。そしてこの方が、こころ温まるご対応をしていただきまして、こちらが営業で訪問させていただいるにも関わらず、有難いご対応をいただきました。何故ここまでご対応いただけるのですかとお尋ねしますと、その方は次のように言われました。

”海外在住のわれわれ日本人として、祖国日本の良い文化を、海外に広める媒介の役目があると考えております。“

どうですか?胸の奥底から熱いものが湧いてきませんか?我々はここ日本でのほほんと平和に暮らしていますと、海外で頑張られている方々のことなど、想いを巡らしたことなど無いのではないでしょうか。このお言葉は、私の生涯の言葉として、今後受け継いでいきたいと思います。次の日は前日商談した際にリサーチ先としてご紹介いただきました、高級店を回りました。そのリサーチ先の高級店でもそこで働かれている日本の店員さんの親切に触れました。ヂュッセルドルフでお出逢いしました日本の方々は、ほんまに温かい方々ばかりでした。また近いうちに必ず行きたいと思います。

そして次に日の朝、デュッセルドルフからEURO STARという高速列車でパリを目指し定刻数分遅れで出発しました。これは優秀だと思っておりましたが、パリへの到着は案の定1時間ほど遅れての到着です。荷物をホテルに預け、その日の商談先へ移動する時間がなく、タクシーでの移動になりました。パリの街並みを見ながらの移動は、観光気分になりました。パリオリンピックとパラリンピックの余韻がセーヌ川の両側のところどころにありました。ルーブル美術館横をすり抜けて、予定時間ギリギリに商談先へ到着いたしました。パリは冷たい雨でした。結構寒かったです。

今回パリでの滞在ホテルは三ツ星ホテルでした。息子と二人で泊まったのですが、その狭さにびっくり。次の日からの展示会でめっちゃつかれているのですが、スプリングがへたった古いベッドでは、一日の疲れが全然取れません。おまけにスーツケースの予備スペースにスニーカーの入れるスペースがなく、レッドウィングのチャッカブーツ一つで歩き回ったのですが、帰ってきてから外反母趾のような痛みが、未だなお両足の親指の先に残っております。

パリのエッフェル塔にほど近い展示会場で3日間みっちりとお客様対応をいたしました。実際に冷たく冷やした日本酒をお注ぎして、試飲いただきました。みなさん、めっちゃ喜んでいただき、何かしらの海外への販路拡大の手ごたえを得られたように思います。

この1週間ほどの渡欧で感じたこと。

・日本人、日本製製品はすごく信用・信頼されていること。

・欧米にはほんまに心の底から日本の文化・伝統を好きな方々が多いこと。

・日本の技術力をすごく良く見てくださっていること。

・海外で日本の発展を思い、日本の文化・伝統・商品・食品を広めておられる熱い志を持った方々がたくさんいらっしゃること。

・まだまだ日本は捨てたもんじゃないなあって感じたこと。

・しかしながら、今回は対ユーロでしたが、日本円だけが一人負けしているということ。

こんなことを思い、感じて帰国してきました。

コロナ禍前までは、毎年一回以上は海外のどこかの国を訪問し、第三者的な目線で日本という国を見る機会を作っておりました。今年は4月に台湾へ、KNSの仲間も同行しましたが、元台湾総督府の明石総督のお墓参りに行ってきました。今年はそれに次いで2回目の海外の旅になりました。毎回思います。もっと自信を持ちましょうよ、日本人。海外ではものすごく評価を受けています。それは日本にいては、得られない体感です。

来年以降もビジネスを兼ねて色んな国を訪問し、今後の弊社の礎にすべく頑張って行きたく思っております。いや、頑張りまっさ!!

そうそう最後にもう一つ大きなハプニングがございました。

最終日シャルル・ド・ゴール空港へたどり着き、ああもうこれで帰れると乗った飛行機が、離陸後2時間くらい経って、機内で機長から空調機材のトラブルのため、議論の末パリに引き返すというアナウンスが流れました。うわ?机の上の溜まった仕事のことが頭をよぎりましたが、仕方がございません。そしてパリに引き返し今日は飛べないので機内から降ろされ、航空会社が用意してくれたホテルへの移動をし、結局チェックインしたのが現地時間の午前4時すぎでした。情報を得るには、サイトかメールしかなく午前8時過ぎに何らかの情報がサイトアップされるからということで、少ししか寝ることが出来ず、しかしながらサイトにはアップされず、メールも来ませんでした。一緒に移動した他の乗客の方々の情報では、本日の振替便があるので、それに搭乗できるということをお聞きした時間に、メールが飛んできました。今回e-simの契約はもうすでに切れており、ネット環境も新たに再構築する必要がありましたが、今度はホテルのwifiの接続がうまくいかず、ほんまにあたふたとしたのを今思い出します。でもこの時航空会社が手配してくれたこのホテルが、今回の旅で一番ええホテルでした。そんなこんなのハプニングがあった、初海外出展の旅でした。旅は良いですね。また行きたいです。

 

中川鉄工株式会社 コーポレートサイト https://www.nakagawa-iw.com/

自社商品shitatariサイト https://www.shitatari.jp/

 

PAGE TOP