Members Column メンバーズコラム
あなたはネコ派?イヌ派?それとも・・・
水本ひでこ (橿原市議会) Vol.133
皆さんはネコやイヌを飼ったことがおありですか。鳥やカメなども含める
と、子供のころから一度は動物を飼った経験がある方は多いのではないでし
ょうか。
「ペットブーム」という言葉が使われるようになって久しいです。「空前の
ペットブーム」とも言われています。ペットは家族同様に大切に扱われ、寿命
が延び、老犬介護をされておられる方もおられるでしょう。でも、その陰で、
捨てられて、「ノラ」と化した不幸な動物たちがいます。理由は「飼えなくな
った」「飽きた」「こどもが産まれて困った」など、人間の身勝手な理由で捨
てられた不幸な命がたくさんいます。
奈良県宇陀市に「うだアニマルパーク」という施設があります。この施設
は「動物とのふれあいを通して、<命の教育><生きる力>を育み、広く県
民に動物全般に対する理解を深めるとともに動物に対する愛護の精神につい
て、普及・啓発を図り、豊かな社会づくりに寄与すること」を目的に掲げて
います。
実際、アニマルパーク内の都市公園ゾーンには自然生態園やふれあい広場
があり、自然の中で動物とふれあえる素晴らしい施設になっています。しか
し、そこに併設されている「動物愛護センター」の実態は、自然あふれる美
しい景色とは裏腹の、非常に衝撃的なものでした。
この施設ではノラ犬・ノラ猫の捕獲や処分、また飼い主とはぐれてしまっ
た動物の保護と新しい飼い主への譲渡などを行っています。ところが、飼い
主のところに戻ることができたり、新しい飼い主が見つかる動物は少なく、
オープンした年には、たった5か月で1384匹もの犬・猫が安楽死という名の
殺処分をされていたのです。そのうち967匹が子猫でした。センターの中に
貼られたポスターの中で動物が訴えています。「ボクたちはゴミじゃない」
ご存じでしょうか。動物の遺棄は犯罪です(50万円以下の罰金)。捨てら
れた動物たちには、飢えや病気、交通事故などによって悲惨な結末を迎える
ものが多くいます。
一方で、生き延びた動物たちは、その動物が生息するはずのない環境で、
捨てられた動物どうしで繁殖し、その環境を壊していきます。とくにネコは
繁殖力が強く、増えるほどに、鳴き声や糞尿、その臭いが、自然の環境を壊
していきます。
私の家のそばには、風光明媚な大和三山の一つ、耳成山があります。歴史
的風土特別保存地区に指定され、国の名勝でもあります。また、ユネスコの
世界遺産にもノミネートされています。この耳成山に多くのネコが捨てられ、
繁殖し、環境を壊しています。山中にいる野生のタヌキとノラ猫が争う場面
を見かけた方もいます。ノラ猫を減らすためには、これ以上繁殖させないこ
とです。そのためには、ノラ猫たちに不妊・去勢の手術をし、繁殖させない
ことが大事です。ノラ猫の寿命は長くて3年といわれています。今ある命は
寿命をまっとうさせてやりましょう。でも、これ以上不幸な命を繁殖させて
はなりません。動物愛護センターで殺処分される命も、生き延びて環境を壊
しながら、病気や交通事故などで死んでいく命も、どちらも不幸な命です。
これ以上不幸な命を増やさないようにしなければなりません。
「捨てないで!殺さないで!」
私は、行政に対し、ノラ猫が繁殖しないように、不妊・去勢の手術に補助
をするよう働きかけています。関東では、ノラ猫を地域猫、地域で地域住民
によって飼われている猫としてとらえ、不妊・去勢手術費用をほぼ全額補助
している自治体もあります。イヌ派の人も、ネコ派の人も
「動物を飼うなら、最後まで責任を持って!」