Members Column メンバーズコラム

全従業員が参画した「経営理念」策定プロジェクト

木村欣祐 (マツモラ産業株式会社)  Vol.380

木村欣祐

「あたたかいを、造る!」をコンセプトに大阪府八尾市で金属部品製造業を営むマツモラ産業株式会社の木村です。入会して間もないのにブログを書く機会を与えていただきありがとうございます。
簡単に自己紹介を、昭和35年生れの57才、家族構成は、嫁一人、男の子二人(大学生)です。
趣味は、ハイキング、読書、楽しく美味しいビールを飲む事、1970-80年代の洋楽を聴くこと、などなどです。
 座右の銘としている言葉は、「人間万事塞翁が馬」です。目の前の事象にあたふたとすることなく、ケセラセラで生きて行きたいと思っているのですが、なかなかそうはいかず。
日々、目の前の事でうろたえているのが、現状です。

世話人の中川さんから、ブログを書きなさいと指令が下ってから、どのようなことを皆さんにお伝え出来ればと思い悩んでいましたが、今回は4年ほど前に当社が取組んだことをシェアさせていただきます。
平成25年3月に、「経営理念策定プロジェクト」を立ち上げました。それまでも当社に経営理念はあったのですが、思い切って作り直すことにしました。それも全従業員を巻き込んでの一大プロジェクトとして。
何故そうしようとしたのか?
その当時感じていた当社の問題点として、
・社内の風通しが悪い
・従業員が指示待ち族になっている
・やらされ感が強い
などなどがありました。
その問題点をコンサルタントの方に相談すると、全従業員で経営理念を作ってみませんかとの提案をいただいたのがきっかけです。
趣旨として、全従業員を参画させて、「自らが関わった経営理念」を策定し、従業員一人ひとりの「自分ごと化」と「リーダーシップ熟成」を掲げました。取組む効用として、従業員の意識改革、意思統一、帰属意識の向上、モチベーションアップなどの従業員育成効果を期待するとともに、従業員から役職者へのボトムアップの意見を取りいれて、役職者の意識改革も促そうとするものでした。
プロジェクトの全体の流れとしては、
①第1ステップ
※経営幹部との課題確認
※事務局の設置
※全従業員への研修(経営理念の理解と方向性)
②第2ステップ
※全従業員が参画した経営理念策定作業(グループワーク)
※事務局へのアドバイス&サポート
※社員プレゼン
※経営理念策定
③第3ステップ
※経営理念連動のミッション・全体戦略を策定
※事務局へのアドバイス&サポート
※従業員への落とし込み作業
という手順を踏んでいく事にしました。

全体を説明すると長くなるので、第2ステップのグループワークとしての経営理念策定作業と社員プレゼンを取上げてみます。
従業員をランダムに3つのグループに分け、役職者は1つのグループとして全体で4つのグループ分けをしました。従業員と役職者を混ぜて1つのグループを作ると、従業員が忌憚のない意見を発表しにくくなるとの配慮から従業員と役職者は完全に別のグループとすることにしました。各グループにはコンサルタントの先生がファシリテーターとして参画していただき、グループミーティングが円滑に進むように、また方向性を見失わないようにコントロールをしていただきました。
グループミーティングはグループ毎に行い、回数は6~7回約1年間に渡る長丁場になりました。また、各回のミーティングの合間には宿題も出されて、従業員にはもちろん役職者にとってもハードなミーティングになりました。
グループミーティングは、
・わが社の強み・弱み
・自社を取巻く環境分析
・会社が社会に対する約束
などなど多岐にわたる項目を喧々諤々とディスカッションしていきました。
各グループ内で出た話の内容は、このプロジェクトの約束事として守秘義務が決められていたので、各従業員グーループの中での細かい内容は教えてもらっていません。
ファシリテーターをお願いしたコンサルタントの先生からは、初めは意見も出てこなかったけれど、回をおうごとに積極的な意見も発言されるようになったとのことでした。我々役職者がグループの中に入っておれば、恐らくそれほど活発な意見も出てこなかったのではと思われます。
 グループミーティングの総括として、グループ内で話しあったことをまとめて、各グループの経営理念として発表していただきました。発表会場は会社から飛び出して八尾商工会議所の会議室をお借りしました。会社内という日常的な場所ではなく、非日常的な場所を用意することで、全従業員が真剣に考えてくれた経営理念(案)に敬意を表しました。プレゼン大会は各グループが策定した経営理念(案)の発表とそれに対する質疑応答という形で開催しました。
各グループの代表者は、プレゼンなどほとんど初めての経験にも関わらず一生懸命に真剣に各グループの思いを発表し、質問に答えていただく姿を見て、このプロジェクトを通じての成長の兆しを垣間見た気がして嬉しくなったのが、昨日の事のように思い出されます。
 各グループから発表していただいた4つの経営理念(案)を、役職者チームで1つにまとめて「新経営理念」としました。この作業では、各グループの思い入れを尊重し全員で作った経営理念とするために、役職者チームで数回にわたるミーティングを実施し完成にたどりつきました。プロジェクト立上げから1年6ヶ月が掛かりました。
 平成26年6月末に、「新経営理念発表会」を八尾の西武百貨店のバンケットルームをお借りして開催しました。1時間掛けて「新経営理念」と、経営理念に付随して策定した「行動規範」を発表し、何故この文言になったのか、従業員が考えてくれた思いはこの部分に反映させていただいたなどを、パワーポイント資料とともに懇切丁寧に説明しました。
全員の思いを詰め込んだ経営理念。これは、これから先も未来永劫わが社の目指すべき道筋となっていきます。プロジェクト以前に発生していた、当社の問題点が現状ですべて解決はできていません。しかし、確実に一歩ずつ問題は解決されつつあります。このプロジェクトを乗り越えて共有の意識が芽生えました。
尚、個人的にこのプロジェクトを通じて勉強させていただいたことは、「自分ごと化する」ことと、従業員に約束した事はたとえ些細なことでも必ず守るということです。
それでは、最後に当社の「経営理念」と「行動規範」を紹介させていただきます。

経営理念
鉄と人の未来を拓き、「夢と感動と喜び」を実感できる企業を目指します。
共に働く社員の一人ひとりを尊重するとともに、「相互信頼」・「相互扶助」・「公正公平」を重んじ、情熱と絶えざる革新により豊かな暮らしの創造と地域社会の繁栄に貢献します。

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