Members Column メンバーズコラム
「断捨離」では片付かない思い出の山
堀越規子 (パーソルキャリア株式会社) Vol.792
父が亡くなってからもうすぐ7年が経ちます。
亡くなってからしばらくは、父の持ち物を片付けようという気分にもならなかったこともありますが、昭和ひと桁生まれの母はとにかく「使えるものを捨てるなんてもったいない」精神が強すぎて、片付けについては、なかなか首を縦に振ってくれませんでした。
最近になって、やっと頑固者の母の気持ちを動かすことができ、父の書斎片付けを開始しました。
父がかなりの読書家だったことから、とにかくたくさんの本があります。しかも本棚自体も重厚感ありすぎるしっかりした作り。私も本好きではあるのですが、父の趣味とは全く合わず…読んでみようという気持ちが1mmもわきませんでした。本好きとしては、処分することが非常に心苦しいので、廃棄の方向ではなく少しでも再利用できる道を探してみたところ、一番最初に思いついたのが図書館への寄付でした。ただ残念ながら我らが西宮市では、「西宮関係資料」のみ受け付けられているとのことでした。
続いて検討したのが「まちライブラリー」。家のご近所にも1カ所あるので、近くに父の本を置いてもらえたら時々会いにいけるのも素敵だなーと思ったのですが、自分が選んだのではない膨大な本にメッセージをつけていく作業は現実的ではないな…という理由で断念しました。
そしてやはり最終的にはリサイクルショップへの買取依頼。最近では、ネットで依頼すれば自宅まで取りに来てくれるので重たい本でも安心です。ただ最近はリサイクルショップで本を買う人も少なくなっているようで、買取価格は下降気味だとか。きっと一生懸命買い集めた父が聞いたら、驚きそうな買取価格になると思います(笑)。
次に困ったのが、こちらもたくさんあるスーツ類。母の実家が洋品店だったこともあり、人一倍父の着る服にはこだわりを発揮し、スーツはすべてフルオーダーだったのでサイズが一般的ではなく汎用性のない作りです。母曰く、生地にはそうとう拘っているらしく捨てるなんてことはもってのほか。二束三文の値段しかつかないなら売るのも嫌、という頑固ぶりを発揮。当時の「高かった」という記憶が鮮明すぎて、今の時代のスーツの相場感や、そこにお金をかける人がすくなくなっているという価値観も理解してもらうのは難しいようです。2~30年も昔に誂えたであろう型も生地も時代おくれどころではないスーツは未だに処分方法が見つかっていません。
そして、最難関が昔ながらのしっかりとした作りの本棚や机たちです。もちろん私が動かすことなんかできるわけもなく、こちらも「捨てる」という選択肢は、母には一切ありません。最近よく聞く手間のかからないリサイクル方法として「ジモティー」も検討してみたのですが、まず大型家具の場合、配送は送料がかなり高くなる、取りに来ていただくのも個人情報的な不安もあり却下。結局のところ、一番良いのは買取業者さんに来ていただき、不用品をまとめて査定していただくのが一番効率が良さそうな気がしています。
あとは父の仕事柄、お仕事関係のものは安易に処分できないものもありそうで、この辺は父の知り合い等にお伺いを立てながら慎重に進めたいと思います。
父の持ち物を片付けるにあたり、最も障壁となったのは母の「もったいない精神」でした。一つ一つのものに思い出や思い入れがあり、私が独断で処分しようとすると鬼のように怒られるので、確認を取りつつ進めますが「これは◎◎に行ったときに買ったもので~~」などひと通り思い出話を聞くところからスタートします。「で、捨てていいの?」と確認すると「捨てるのは嫌、何か良い方法はないかしら」の一連のやり取りを何万回繰り返したことか…。物を処分するとい物理的な大変さはもちろんありますが、家族とは言え、関わる全ての人が納得する片付け方は難しいな、と痛感しました。
母としては、父の思い出の品に囲まれて暮らすことに何の不便も感じていないわけで、処分しようとする私のことを冷たい娘だ!と思っている節さえありそうです。
使っていないものであれば片付けて、自分に必要なものを買ったり、暮らしやすいように部屋のリフォームをするなど「今」に目を向けて快適な生活をしてほしい。と考えるのは私のエゴなのかもしれないです。幸せの形って本当に人それぞれだと思うし「こうした方がよいと思うよ」という価値観の押し付けは、何も前に進まないということが分かり、最近では母のやりたいようにしてもらうのが一番。「こうしてほしいという要望があれば手助けしよう」という悟りの境地に達してから、私の気持ちもかなり楽になりました。
「実家 片付け」でYouTubeを見るとたくさんの動画が上がっており、たぶん私と同世代と思われる方々が、親御さんと喧嘩しながらも片付けていく過程は、ものすごく共感するし、同じように困っている方が多いんだな、と同志を見つけた安心感もありました。
その中でも「月子さんのおうち改造計画」で、お母さまのお家を片付ける際の説得の仕方などは大変参考にさせてもらいました。うちと同じで母と娘となると喧嘩になることも多いようで…。月子さんはご自身の経験を生かして、色んなお家のお片付けを請け負うお仕事を始められており、こんな風に家族だけでは解決しない家庭の問題を助けてくれる人の存在って大事だな、と思う日々です。
まだしばらく我が家の母娘戦争は続きそうですが、父との思い出話を聞かせてもらえる貴重な時間だと思って楽しみながら頑張ります。
