Members Column メンバーズコラム
「東北六魂祭」に想う
安保繁 (国立研究開発法人科学技術振興機構) Vol.317
東日本大震災による犠牲者の鎮魂と復興を願うとともに、東北の絆を一層強める一大イベント「東北六魂祭」が6月25・26日に青森で開催された。2011年仙台市での開催を皮切りに、2012年盛岡市、2013年福島市、2014年山形市、2015年秋田市、そして6県を一巡する今年2016年は最終の地、青森市へ。東北6県を代表する夏祭り(青森ねぶた祭、秋田竿燈まつり、盛岡さんさ踊り、山形花笠まつり、仙台七夕まつり、福島わらじまつり)が一堂に集い、2日間で約27万人が来場して熱気に包まれた。
東北の夏祭り本番の時期は8月上旬に集中するため、なかなか他県の祭りを観覧しに行く機会がない人も多いのではないだろうか。青森と岩手を中心に活動している私にとっても、青森ねぶた祭と盛岡さんさ踊り以外はほとんど初めての観覧になったが、演舞している人たちから「みんなと一緒に盛り上がりたい」という思いと、「東北は一つ」という一体感がひしひしと伝わってきて大いに感激した。来年以降も何らかの形で継続してほしいという声が多く聞かれることからもわかる通り、東北六魂祭が多くの人に元気を与えたことは間違いない。
私はこの4年間、JSTの立場で被災地企業の復興支援に携わってきたが、まだまだ“道半ば”というのが実感である。今年の熊本地震で被災した同僚や知人に思いを馳せると、「こんなことをしている場合なのか、他にできることはないのか」と色々と考えてしまうこともある。しかし、昨今の暗いニュースが多い中で、一時でも家族や友人・知人と楽しい気分になって小さな幸福を感じられるものがあることは、心の復興にとってとても大切なことだと思う。
東北の短い夏はこれからである。今年はどこか他県の祭りに行って、本場の空気感を体感して、地元の人たちと交流してみようと思う。